忘れられた人たちの学校
第−7世界。
きずなの船は、巨大な学校の校門前に着陸した。
校門には――。
『忘れられた人たちの学校』
と書かれている。
ノノが校舎を見上げる。
「ここに……人がいるの?」
すると、校舎の窓が一斉に開いた。
「転校生だ!」
「新しい人が来た!」
「誰かに覚えてもらえる!」
たくさんの声が響く。
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校長先生
校門から一人の老人が歩いてくる。
長い白い髭。
大きな眼鏡。
手には古い出席簿。
「ようこそ。」
老人は頭を下げた。
「私はこの学校の校長です。」
悠真が尋ねる。
「ここには、どんな人たちがいるんですか?」
校長は出席簿を開く。
「この学校にいるのは――。」
「どこかの世界で忘れられた人々です。」
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名前のない生徒
校庭には、たくさんの生徒がいた。
魔法使いの少年。
翼を持つ少女。
ロボットのような生徒。
小さなドラゴン。
普通の人間。
姿も種族もバラバラ。
しかし共通していることが一つあった。
みんな、自分の名前を思い出せない。
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名前をなくすということ
一人の少女が悠真に話しかける。
「私、昔は名前があったらしいの。」
「でも、誰にも呼ばれなくなって……。」
「いつの間にか忘れちゃった。」
悠真は言葉を失う。
少女は笑う。
「だから、この学校ではみんな『君』とか『あなた』って呼び合ってる。」
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出席簿
校長が出席簿を見せる。
そこには何千もの名前が書かれている。
しかし、ところどころ空白になっている。
校長は言った。
「名前を忘れた生徒が、自分の名前を取り戻すと――。」
その名前の文字が消える。
「この学校を卒業できるのです。」
ノノが驚く。
「じゃあ、名前を思い出せば帰れるの?」
「はい。」
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悠真たちの授業
ところが校長は、悠真たちに言った。
「あなたたちにも授業を受けてもらいます。」
ノノが目を丸くする。
「えっ、私たちも?」
「もちろん。」
最初の授業は――。
『忘れないこと』
だった。
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思い出の授業
教室の黒板に、一つの質問が書かれる。
『あなたにとって、大切な思い出は?』
生徒たちが考える。
悠真は――。
これまで出会った仲間たちを思い出した。
初めてノノと出会った日。
リナと旅した日。
アオと出会った日。
アシタと未来を見た日。
そして、最初の悠真と出会った日。
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ノノの答え
ノノが手を上げる。
「私は――。」
「みんなと一緒に冒険したこと!」
先生が聞く。
「一番大切なのは?」
ノノは笑う。
「一緒に笑ったこと!」
教室が静かになる。
すると――。
一人の生徒の胸元が光った。
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思い出が名前を呼ぶ
その生徒は驚いた。
「……思い出した。」
「私の名前……。」
少女は自分の名前を口にする。
その瞬間、出席簿の空白が埋まった。
名前が戻った。
教室中から拍手が起こる。
ノノも嬉しそうに拍手する。
「よかった!」
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一人、また一人
その後も、生徒たちは思い出を語った。
大好きだった場所。
一緒に遊んだ友達。
昔食べた料理。
家族との時間。
小さな思い出が、一つずつ名前を取り戻していく。
そして学校の出席簿から、空白がどんどん消えていった。
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しかし、一冊だけ
校長は出席簿の最後のページを開く。
そこには――。
巨大な空白。
名前の欄が真っ白になっている。
悠真が尋ねる。
「これは誰?」
校長は答えない。
しばらくして――。
「この学校で一番長く忘れられている存在です。」
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「先生」
突然、教室の後ろから声がした。
振り返ると――。
一人の少年が立っていた。
黒い髪。
白いシャツ。
どこにでもいそうな普通の少年。
少年は言う。
「僕の名前は――。」
しかし、そこで止まってしまう。
「……分からない。」
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最後の生徒
校長が言う。
「彼は、学校ができる前からここにいます。」
「誰も名前を覚えていない。」
「だから、彼だけは卒業できない。」
悠真が少年を見る。
「じゃあ、一緒に名前を探そう。」
少年は驚いた。
「……僕の?」
「うん。」
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記憶を探す旅
悠真たちは学校の地下にある巨大な図書室へ向かった。
そこには、無数の本。
一冊一冊に、生徒たちの記憶が保存されている。
ノノが本を探す。
「この子かな?」
違う。
「こっちは?」
違う。
何時間探しても見つからない。
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一冊の白い本
そして最後に――。
棚の奥から、真っ白な本が落ちてきた。
表紙には何も書かれていない。
少年が触れる。
すると、本が開く。
最初のページには――。
『この人物には、まだ名前がありません。』
と書かれていた。
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名前がない理由
悠真が気づく。
「最初から名前がなかったんだ。」
校長が頷く。
「そうです。」
「忘れられたのではありません。」
「まだ、誰にも名前をつけてもらっていなかった。」
少年は黙る。
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悠真の提案
悠真が少年を見る。
「じゃあ、自分で決めればいい。」
少年が驚く。
「自分で?」
「うん。」
ノノも笑う。
「自分が好きな名前でいいんだよ!」
少年はしばらく考える。
そして――。
窓から差し込む光を見る。
「じゃあ……。」
「ヒカリ。」
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新しい名前
「ヒカリ。」
少年はその名前を何度も口にする。
「僕は、ヒカリ。」
その瞬間――。
学校中が光に包まれた。
出席簿の最後の空白が埋まる。
『ヒカリ』
という文字が浮かび上がる。
校長が笑う。
「卒業、おめでとう。」
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学校が変わる
ヒカリが笑った瞬間。
校舎の壁に、無数の扉が現れた。
一つ一つが――。
それぞれの世界につながっている。
校長が説明する。
「名前を取り戻した生徒たちは、自分の世界へ帰ることができます。」
扉の向こうには――。
それぞれの故郷が見えていた。
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旅立ち
生徒たちが次々と扉をくぐる。
「ありがとう!」
「また会おう!」
「忘れないよ!」
学校は少しずつ静かになっていく。
でも――。
誰も寂しそうではなかった。
なぜなら、今度はお互いの名前を覚えているから。
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ヒカリの選択
ヒカリは一つの扉の前に立つ。
しかし、入ろうとしない。
悠真が尋ねる。
「帰らないの?」
ヒカリは笑う。
「僕には、帰る場所がない。」
「だったら――。」
悠真が言う。
「一緒に来る?」
ヒカリの目が輝く。
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新しい仲間
ヒカリは頷いた。
「うん。」
ノノが大喜びする。
「新しい仲間!」
アシタも笑う。
「名前が『ヒカリ』なら、暗い場所でも大丈夫だね。」
ヒカリは照れながら笑った。
こうして――。
ヒカリが新たな仲間になった。
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しかし校長から最後の知らせ
出発前。
校長が悠真に一枚の紙を渡す。
そこには――。
『第−7世界の外側』
と書かれている。
「この学校は、実は第−7世界の中心ではありません。」
「境界の中継地点なのです。」
悠真が尋ねる。
「じゃあ、この先には?」
校長は遠くを見る。
「すべての世界から切り離された場所があります。」
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『忘却の海』
校長は続けた。
「そこには、名前だけでなく――。」
「思い出も。」
「歴史も。」
「世界そのものも。」
「すべて忘れられてしまった場所があります。」
その名は――。
『忘却の海』
ヒカリが呟く。
「そこに、僕の本当の故郷があるのかもしれない。」
悠真は頷く。
「じゃあ、次はそこへ行こう。」
きずなの船が動き出す。
その航路の先には――。
地図に存在しない、真っ白な海が広がっていた。




