↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉妹レンタル  作者: なんなん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
154/421

忘れられた人たちの学校

第−7世界。


きずなの船は、巨大な学校の校門前に着陸した。


校門には――。


『忘れられた人たちの学校』


と書かれている。


ノノが校舎を見上げる。


「ここに……人がいるの?」


すると、校舎の窓が一斉に開いた。


「転校生だ!」


「新しい人が来た!」


「誰かに覚えてもらえる!」


たくさんの声が響く。



---


校長先生


校門から一人の老人が歩いてくる。


長い白い髭。


大きな眼鏡。


手には古い出席簿。


「ようこそ。」


老人は頭を下げた。


「私はこの学校の校長です。」


悠真が尋ねる。


「ここには、どんな人たちがいるんですか?」


校長は出席簿を開く。


「この学校にいるのは――。」


「どこかの世界で忘れられた人々です。」



---


名前のない生徒


校庭には、たくさんの生徒がいた。


魔法使いの少年。


翼を持つ少女。


ロボットのような生徒。


小さなドラゴン。


普通の人間。


姿も種族もバラバラ。


しかし共通していることが一つあった。


みんな、自分の名前を思い出せない。



---


名前をなくすということ


一人の少女が悠真に話しかける。


「私、昔は名前があったらしいの。」


「でも、誰にも呼ばれなくなって……。」


「いつの間にか忘れちゃった。」


悠真は言葉を失う。


少女は笑う。


「だから、この学校ではみんな『君』とか『あなた』って呼び合ってる。」



---


出席簿


校長が出席簿を見せる。


そこには何千もの名前が書かれている。


しかし、ところどころ空白になっている。


校長は言った。


「名前を忘れた生徒が、自分の名前を取り戻すと――。」


その名前の文字が消える。


「この学校を卒業できるのです。」


ノノが驚く。


「じゃあ、名前を思い出せば帰れるの?」


「はい。」



---


悠真たちの授業


ところが校長は、悠真たちに言った。


「あなたたちにも授業を受けてもらいます。」


ノノが目を丸くする。


「えっ、私たちも?」


「もちろん。」


最初の授業は――。


『忘れないこと』


だった。



---


思い出の授業


教室の黒板に、一つの質問が書かれる。


『あなたにとって、大切な思い出は?』


生徒たちが考える。


悠真は――。


これまで出会った仲間たちを思い出した。


初めてノノと出会った日。


リナと旅した日。


アオと出会った日。


アシタと未来を見た日。


そして、最初の悠真と出会った日。



---


ノノの答え


ノノが手を上げる。


「私は――。」


「みんなと一緒に冒険したこと!」


先生が聞く。


「一番大切なのは?」


ノノは笑う。


「一緒に笑ったこと!」


教室が静かになる。


すると――。


一人の生徒の胸元が光った。



---


思い出が名前を呼ぶ


その生徒は驚いた。


「……思い出した。」


「私の名前……。」


少女は自分の名前を口にする。


その瞬間、出席簿の空白が埋まった。


名前が戻った。


教室中から拍手が起こる。


ノノも嬉しそうに拍手する。


「よかった!」



---


一人、また一人


その後も、生徒たちは思い出を語った。


大好きだった場所。


一緒に遊んだ友達。


昔食べた料理。


家族との時間。


小さな思い出が、一つずつ名前を取り戻していく。


そして学校の出席簿から、空白がどんどん消えていった。



---


しかし、一冊だけ


校長は出席簿の最後のページを開く。


そこには――。


巨大な空白。


名前の欄が真っ白になっている。


悠真が尋ねる。


「これは誰?」


校長は答えない。


しばらくして――。


「この学校で一番長く忘れられている存在です。」



---


「先生」


突然、教室の後ろから声がした。


振り返ると――。


一人の少年が立っていた。


黒い髪。


白いシャツ。


どこにでもいそうな普通の少年。


少年は言う。


「僕の名前は――。」


しかし、そこで止まってしまう。


「……分からない。」



---


最後の生徒


校長が言う。


「彼は、学校ができる前からここにいます。」


「誰も名前を覚えていない。」


「だから、彼だけは卒業できない。」


悠真が少年を見る。


「じゃあ、一緒に名前を探そう。」


少年は驚いた。


「……僕の?」


「うん。」



---


記憶を探す旅


悠真たちは学校の地下にある巨大な図書室へ向かった。


そこには、無数の本。


一冊一冊に、生徒たちの記憶が保存されている。


ノノが本を探す。


「この子かな?」


違う。


「こっちは?」


違う。


何時間探しても見つからない。



---


一冊の白い本


そして最後に――。


棚の奥から、真っ白な本が落ちてきた。


表紙には何も書かれていない。


少年が触れる。


すると、本が開く。


最初のページには――。


『この人物には、まだ名前がありません。』


と書かれていた。



---


名前がない理由


悠真が気づく。


「最初から名前がなかったんだ。」


校長が頷く。


「そうです。」


「忘れられたのではありません。」


「まだ、誰にも名前をつけてもらっていなかった。」


少年は黙る。



---


悠真の提案


悠真が少年を見る。


「じゃあ、自分で決めればいい。」


少年が驚く。


「自分で?」


「うん。」


ノノも笑う。


「自分が好きな名前でいいんだよ!」


少年はしばらく考える。


そして――。


窓から差し込む光を見る。


「じゃあ……。」


「ヒカリ。」



---


新しい名前


「ヒカリ。」


少年はその名前を何度も口にする。


「僕は、ヒカリ。」


その瞬間――。


学校中が光に包まれた。


出席簿の最後の空白が埋まる。


『ヒカリ』


という文字が浮かび上がる。


校長が笑う。


「卒業、おめでとう。」



---


学校が変わる


ヒカリが笑った瞬間。


校舎の壁に、無数の扉が現れた。


一つ一つが――。


それぞれの世界につながっている。


校長が説明する。


「名前を取り戻した生徒たちは、自分の世界へ帰ることができます。」


扉の向こうには――。


それぞれの故郷が見えていた。



---


旅立ち


生徒たちが次々と扉をくぐる。


「ありがとう!」


「また会おう!」


「忘れないよ!」


学校は少しずつ静かになっていく。


でも――。


誰も寂しそうではなかった。


なぜなら、今度はお互いの名前を覚えているから。



---


ヒカリの選択


ヒカリは一つの扉の前に立つ。


しかし、入ろうとしない。


悠真が尋ねる。


「帰らないの?」


ヒカリは笑う。


「僕には、帰る場所がない。」


「だったら――。」


悠真が言う。


「一緒に来る?」


ヒカリの目が輝く。



---


新しい仲間


ヒカリは頷いた。


「うん。」


ノノが大喜びする。


「新しい仲間!」


アシタも笑う。


「名前が『ヒカリ』なら、暗い場所でも大丈夫だね。」


ヒカリは照れながら笑った。


こうして――。


ヒカリが新たな仲間になった。



---


しかし校長から最後の知らせ


出発前。


校長が悠真に一枚の紙を渡す。


そこには――。


『第−7世界の外側』


と書かれている。


「この学校は、実は第−7世界の中心ではありません。」


「境界の中継地点なのです。」


悠真が尋ねる。


「じゃあ、この先には?」


校長は遠くを見る。


「すべての世界から切り離された場所があります。」



---


『忘却の海』


校長は続けた。


「そこには、名前だけでなく――。」


「思い出も。」


「歴史も。」


「世界そのものも。」


「すべて忘れられてしまった場所があります。」


その名は――。


『忘却の海』


ヒカリが呟く。


「そこに、僕の本当の故郷があるのかもしれない。」


悠真は頷く。


「じゃあ、次はそこへ行こう。」


きずなの船が動き出す。


その航路の先には――。


地図に存在しない、真っ白な海が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。