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普通の世界

きずなの船は、新しく生まれた扉――第1世界へ入っていった。


これまでの世界とは違い、そこには魔法も巨大な空中都市もなかった。


広がっていたのは――。


青い空。


普通の道路。


電車。


学校。


コンビニ。


そして、たくさんの人々。


ノノが窓から外を見る。


「わあ……!」


「普通の街だ!」



---


初めて見る世界


悠真も街を眺める。


「本当に普通だ。」


リナが笑う。


「でも、私たちにとっては初めて見る世界だよ。」


ユイも興味津々だ。


「世界によって、こんなに違うんだね。」


ハジメは不思議そうに街を見ていた。


「ここでは、みんなが普通に暮らしてる。」


ゼロスが頷く。


「それこそが、この世界の特徴なのかもしれない。」



---


姉妹レンタルの看板


船を降りて街を歩いていると――。


悠真が立ち止まった。


「あれ?」


そこには、一軒の店があった。


看板には――。


『姉妹レンタル』


ノノが驚く。


「ここにもある!」


悠真たちは店に入ってみる。


しかし、受付には誰もいない。



---


一枚のメモ


机の上に、一枚のメモが置かれていた。


悠真が読む。


『第1世界支部へようこそ。』


その下には、


『あなたたちが来ることは、ずっと前から分かっていました。』


と書かれている。


カナタが驚く。


「どういうこと?」


さらに、その下には――。


『最初のお客様を、お願いします。』



---


最初のお客様


すると、店のドアが開いた。


一人の少年が入ってくる。


「こんにちは。」


悠真たちは少年を見る。


少年は少し緊張した様子で言った。


「姉妹レンタルって、ここですよね?」


ノノが受付に座る。


「はい!」


少年は依頼内容を伝えた。


「一日だけ、家族みたいに一緒に遊んでくれる人を探しています。」



---


少年の名前


少年の名前はタクミ。


両親が忙しく、休日でも一人で過ごすことが多いらしい。


タクミは笑いながら言う。


「別に寂しくないよ。」


でも、ノノは少しだけ考える。


「本当に?」


タクミは黙った。


そして――。


「……ちょっとだけ。」



---


第1世界での依頼


悠真たちはタクミと一緒に街へ出る。


公園へ行く。


ゲームセンターではなく、普通の公園で遊ぶ。


コンビニでお菓子を選ぶ。


河川敷を歩く。


魔法もない。


ドラゴンもいない。


大事件も起きない。


それでも――。


タクミはずっと笑っていた。



---


「普通っていいね」


夕方。


河川敷でタクミが言う。


「こういうの、初めてかも。」


悠真が尋ねる。


「何が?」


「誰かと何でもない話をすること。」


ノノが笑う。


「何でもない時間って、結構楽しいよね。」


タクミも笑った。


「うん。」



---


ハジメの発見


その時、ハジメが空を見上げる。


「ねえ。」


「この世界には、世界を作る力がないの?」


ゼロスが答える。


「おそらく。」


ハジメは驚いた。


「じゃあ、どうやって世界が続いているの?」


悠真が答える。


「みんなが毎日を過ごしてるからじゃないかな。」



---


小さな選択


タクミが道端のゴミを見つける。


「これ、拾おう。」


小さなゴミを拾って、ごみ箱に入れる。


それだけ。


でも、その瞬間――。


銀河年代記のページに小さな文字が浮かんだ。


『タクミ、最初の選択。』


ハジメが驚く。


「こんな小さなことも、未来になるの?」


悠真は頷く。


「たぶんね。」



---


第1世界の秘密


夜。


姉妹レンタルの店に戻る。


すると、昼間は誰もいなかった受付に――。


一人の女性が立っていた。


「お帰りなさい。」


悠真が尋ねる。


「あなたは?」


女性は微笑む。


「この店の店長です。」


そして、驚くべきことを告げた。


「私は、第1世界が生まれる前から、この日を待っていました。」



---


最初の世界ではない?


悠真が驚く。


「第1世界が生まれる前?」


女性は頷く。


「そうです。」


「実は、この世界は――。」


女性は店の奥にある扉を開ける。


その先には、真っ白な部屋。


中央には、小さな机。


机の上には一冊の本。


表紙には――。


『第0世界』



---


第0世界


ゼロスが言葉を失う。


「第0世界……。」


女性は頷く。


「第1世界より前に存在した、最初の『普通の世界』です。」


悠真が本を見る。


「じゃあ、なぜ第0世界は消えたの?」


女性は答えなかった。


代わりに本を開く。


最後のページには――。


『第0世界を救えるのは、第1世界で最初に笑った人。』


と書かれている。


ノノが驚く。


「最初に笑った人って……誰?」



---


その瞬間


店の外から声が聞こえる。


「ありがとうございました!」


タクミだった。


今日一日を一緒に過ごしたタクミが、笑顔で手を振っている。


女性が微笑む。


「もう、分かりましたね。」


悠真たちが振り返る。


タクミの笑顔が、まばゆい光になる。


その光が――。


第0世界の本へ吸い込まれていく。



---


第0世界への扉


本のページから光があふれ出す。


そして――。


空中に新しい扉が現れた。


扉には、


『第0世界・再起動』


の文字。


ゼロスが驚く。


「まさか……。」


悠真は笑った。


「また新しい冒険だね。」


ノノが元気よく手を上げる。


「行こう!」


タクミも驚きながら尋ねる。


「僕も?」


悠真は頷く。


「もちろん。」



---


そして――


きずなの船が、第0世界への扉へ向かう。


普通の世界から始まった、小さな一日。


その一日が――。


消えた世界を取り戻す鍵になるとは、誰も知らなかった。


船が光の中へ入っていく。


その先には――。


誰も住んでいない、巨大な普通の街。


しかし街の時計はすべて――。


午前0時で止まっていた。


そして、時計塔の頂上から声が響く。


「ようこそ、第0世界へ。」

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