未来を食べるもの
第−6世界。
悠真たちは、カイたちから渡された地図を広げていた。
地図の最奥にあるのは――。
『第−∞世界』
そこだけが、真っ黒に塗りつぶされている。
ノノが不安そうに尋ねる。
「未来を食べるって……どういうこと?」
カイは静かに答えた。
「未来の可能性を消してしまう存在です。」
「世界そのものを壊すわけではありません。」
「その世界にあったはずの『これから』を消すんです。」
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消えた明日
カイが一つの小さな世界を指差す。
「ここを見てください。」
地図上では、普通の世界に見える。
しかし――。
そこには未来の記録が一つもない。
ゼロスが銀河年代記を開く。
「確かに……。」
「この世界には、明日の記録がない。」
悠真が驚く。
「じゃあ、そこに住んでいる人たちは?」
カイは首を振る。
「今日までは普通に暮らしています。」
「でも、明日が来るとは限らない。」
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第−∞世界へ
悠真はきずなの船を見る。
「行こう。」
ノノが頷く。
「うん!」
リナも準備を始める。
ユイとミライも船に乗り込む。
カイたち五人も同行することになった。
カイが言う。
「私たちも、未来を取り戻したい。」
悠真が笑う。
「じゃあ、一緒に行こう。」
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果てのない空間
第−∞世界への扉を開く。
船が進む。
一つ目の世界を通過。
二つ目。
三つ目。
十個。
百個。
千個。
しかし、世界の数はどこまでも続いている。
ソウが驚く。
「終わりがない!」
ゼロスが答える。
「だから『第−∞』と呼ばれている。」
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時間が消える
突然。
船の時計が止まった。
カチッ。
悠真が時計を見る。
「時間が……。」
カナタが叫ぶ。
「前方に巨大な異常空間!」
そこには何もなかった。
星も。
世界も。
光も。
ただの黒い空間。
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未来を食べるもの
黒い空間の中心に――。
巨大な影が現れた。
姿は一定しない。
時には鳥。
時には獣。
時には人。
そして、その影が触れた場所から――。
未来の光が消えていく。
ノノが叫ぶ。
「これが……!」
カイが答える。
「未来を食べるものです。」
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名前のない存在
悠真が尋ねる。
「名前はないの?」
カイは首を振る。
「誰も名前をつけられませんでした。」
「名前をつける前に、その記憶まで消えてしまうからです。」
悠真は影を見る。
「じゃあ――。」
「僕たちが名前をつけよう。」
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「アシタ」
悠真は少し考える。
「『アシタ』。」
影が動きを止める。
「未来を食べるなら――。」
「僕たちは、未来そのものに名前をつける。」
「アシタ。」
その言葉が空間に響く。
アシタ。
アシタ。
アシタ。
影が初めて震えた。
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名前には力がある
白い人物が通信を送ってくる。
「悠真!」
「名前を与えることは、存在を認めることです。」
「今まで誰にも認められなかった存在なら――。」
「名前を持った瞬間、世界とのつながりが生まれます。」
悠真は頷く。
「じゃあ、アシタ。」
「君も、僕たちの物語の仲間になれる。」
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アシタの記憶
巨大な影の中から、無数の光が現れる。
そこには――。
消えてしまった未来が映っていた。
誰かが大人になる未来。
新しい町ができる未来。
友達と旅する未来。
まだ生まれていない子どもたちの未来。
全部、アシタが食べてしまったものだった。
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アシタの理由
悠真が尋ねる。
「どうして未来を食べるの?」
影の中から、初めて声が聞こえた。
「怖いから。」
全員が驚く。
「未来が来ると――。」
「何かが変わる。」
「変わると――。」
「失うかもしれない。」
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カイが気づく
カイが前へ出る。
「僕たちと同じだ。」
「未来が怖くて、未来を固定した。」
悠真が頷く。
「でも、未来を止めても安心にはならない。」
カイはアシタを見る。
「僕たちも、間違えた。」
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みんなの未来
悠真たちは一人ずつ未来の願いを話した。
リナ。
「新しい世界を見つけたい。」
ノノ。
「もっとたくさんの友達を作りたい!」
ユイ。
「ミライの世界をもっと大きくしたい。」
ミライ。
「いろんな世界をつなぎたい。」
カイ。
「自分たちで選び続けたい。」
そして悠真。
「僕は――。」
少し考えてから言った。
「これからも、みんなと冒険したい。」
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アシタが変わる
その言葉を聞いた瞬間。
アシタの巨大な影が小さくなっていく。
黒い色が薄くなる。
そして――。
小さな光の姿になった。
その姿は、まだ幼い少年だった。
「未来って……。」
悠真が答える。
「うん。」
「怖いこともある。」
「でも――。」
「楽しいことも、まだ知らないこともいっぱいある。」
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新しい仲間
アシタは悠真の前に浮かぶ。
「じゃあ……。」
「僕も未来を見てみたい。」
悠真が笑う。
「一緒に見よう。」
アシタの体から光が広がる。
食べてしまった未来が、次々と元の世界へ戻っていく。
止まっていた時計が動き始める。
カチッ。
カチッ。
そして――。
第−∞世界に、初めて明日の光が差し込んだ。
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未来の先へ
アシタが仲間に加わり、きずなの船は帰路につく。
しかし、船の前方に――。
見たことのない巨大な門が現れた。
ゼロスが驚く。
「これは……。」
カイが地図を見る。
「地図には載っていない。」
門には、たった一つの文字。
『始点』
悠真が目を見開く。
「始点……?」
門がゆっくり開く。
その向こうには――。
今まで訪れたすべての世界が、一つの場所に集まっていた。
そして中央に、巨大な光が浮かんでいる。
アシタが呟く。
「あそこに、全部の未来がつながっている。」
悠真は仲間たちを見る。
「行こう。」
きずなの船は、すべての世界の始点へ向かって進み始めた。




