物語を終わらせる者
海だけの世界――アオの世界。
巨大な黒いクジラが、海面からゆっくりと姿を現した。
その背中には、黒い本。
そして空には、無数のページが舞っている。
ページが一枚閉じるたびに、どこかの世界から小さな光が消えていく。
ノノが叫ぶ。
「アオちゃん! 大丈夫?」
アオは頷いた。
「うん!」
「私の世界は、私が守る!」
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エンド
黒いクジラの上に、黒い人影が現れた。
長いコート。
顔は影に隠れている。
その人物は静かに言った。
「私はエンド。」
「物語を終わらせる者。」
悠真が尋ねる。
「どうして物語を終わらせるんだ?」
エンドは答えた。
「物語が続く限り、選択も続く。」
「選択が続けば、世界も増える。」
「世界が増えれば、争いも悲しみも増える。」
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悠真の反論
悠真は首を振る。
「でも、楽しいことも増える。」
エンドが黙る。
悠真は続けた。
「僕たちは今まで、いろんな世界に行った。」
「確かに大変なこともあった。」
「でも――。」
「そこで出会った人たちがいた。」
リナが頷く。
「一緒に笑ったり、助け合ったりした。」
ユイも言う。
「だから私は、自分の世界を作ることができた。」
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アオの願い
アオが一歩前へ出る。
「私もそう。」
エンドが見る。
「私はずっと一人だった。」
「でも、ノノが来てくれた。」
ノノが笑う。
「友達だもん!」
アオは頷いた。
「だから私は――。」
「この世界を終わらせたくない。」
その言葉と同時に、海が大きく輝いた。
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最初の島
何もなかった海の中央に――。
小さな島が浮かび上がった。
アオが驚く。
「島……?」
悠真が笑う。
「アオの願いが、世界を変えたんだ。」
島には一本の木が生えた。
その木に、小さな実が一つだけなる。
ノノが見つける。
「何だろう?」
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「続きの実」
白い人物が説明する。
「それは『続きの実』です。」
「物語が終わりそうになったとき、新しい可能性を生み出します。」
ソウが嬉しそうに光る。
「じゃあ、これを使えばページを開ける!」
しかしエンドが手を伸ばす。
黒い力が島を包む。
「そんなものは必要ない。」
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クジラの攻撃
巨大なクジラが尾びれを振る。
ザバァァァン!
巨大な波が押し寄せる。
きずなの船が大きく揺れる。
「うわっ!」
悠真が操縦桿を握る。
「みんな、つかまって!」
リナが船の帆を調整する。
ノノはアオを支える。
「大丈夫!」
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アオの世界を守れ
悠真が叫ぶ。
「アオ!」
「島を守る方法は?」
アオは考える。
「……分からない!」
悠真が笑う。
「じゃあ、みんなで考えよう!」
その瞬間、世界中から通信が入る。
ツナ。
ミライ。
第−3世界。
第−4世界。
そして、これまで訪れたすべての世界。
「私たちも手伝う!」
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世界から届く力
一つ一つの世界から光が届く。
それは魔法ではなかった。
剣でもない。
兵器でもない。
それぞれの世界にある――。
「思い出」
だった。
初めて友達と出会った記憶。
初めて笑った記憶。
誰かに助けてもらった記憶。
そして、これからやりたいこと。
無数の光が、アオの世界を包む。
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エンドの力が弱まる
エンドが驚く。
「なぜ……?」
クロノが答える。
「君は一つ忘れている。」
エンドが振り返る。
「何を?」
クロノは言った。
「終わりがあるからこそ、次を始めることができる。」
「だから、終わりだけでは物語にならない。」
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エンドの正体
エンドの姿が少しずつ変わっていく。
黒いコートが白くなり――。
その姿は、一人の少年になった。
悠真が驚く。
「君も……誰かに作られたの?」
少年は頷く。
「私は、最初の物語から生まれた。」
「物語が終わったときに生まれる存在。」
だから――。
エンドは「終わり」だけを集めていた。
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エンドが知らなかったこと
悠真は言う。
「終わりは、次の始まりにもなる。」
エンドは黙って聞いている。
「物語が終わったら、全部消えるんじゃない。」
「そこから誰かが、新しい物語を始められる。」
アオも笑う。
「だから私も、新しい世界を始められた。」
エンドは自分の手を見る。
「……私にも、始められる?」
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新しい役目
白い人物が答える。
「もちろん。」
「あなたは物語を終わらせるだけではなく――。」
「次の物語へ渡す役目を持てばいい。」
エンドはしばらく考える。
そして初めて笑った。
「……それなら。」
「僕も手伝う。」
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黒い本が変わる
エンドが黒い本を開く。
これまで閉じていたページが、一斉に開いていく。
消えかけていた世界の光が戻る。
そして最後に――。
黒い本の表紙が白く変わった。
タイトルも変わる。
『終わりと始まり』
悠真が笑う。
「いいタイトルだね。」
エンドも頷く。
「うん。」
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アオの世界
アオの世界にも変化が起きた。
海の中央に大きな島が増えた。
さらに島。
そして港。
家。
学校。
広場。
いつの間にか、海の世界はたくさんの人が暮らす場所になっていた。
アオはその光景を見て笑う。
「私の世界が……こんなに大きくなった。」
ノノが言う。
「まだ始まったばかりだよ!」
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新しい名前
アオは自分の世界を正式に命名した。
『アクア』
海と出会いと未来を意味する名前。
悠真たちは大きな拍手を送った。
そして、姉妹レンタルにも新しい支店ができた。
『姉妹レンタル・アクア支部』
最初のお客さんはもちろん――。
アオ。
依頼内容は、
『これからも一緒に冒険してくれる友達が欲しい』
だった。
ノノが笑う。
「依頼、受け付けました!」
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その頃――
物語の外側・第二層。
白い人物が、静かに一冊の本を閉じた。
その本の表紙には――。
『第−6世界』
という文字が浮かび上がっている。
白い人物は呟く。
「まだ、誰も知らない。」
「第−6世界には――。」
ページが勝手に開く。
そこには巨大な城。
その城の玉座に座る、謎の人物。
そして、その人物の隣には――。
悠真たちとそっくりな姿をした、五人の人物。
白い人物が驚く。
「……これは、未来の仲間?」
しかし次の瞬間。
ページに新しい文字が浮かび上がった。
『未来の敵』
白い人物の顔から、笑顔が消えた。




