空白の名前
世界の外側。
無数の世界が輝く中で、悠真たちは一つの巨大な存在と向き合っていた。
それは――空白。
何も持たない。
何も知らない。
けれど、初めて「世界になりたい」と願った存在だった。
レンが依頼書を握る。
「依頼は受け付けました。」
悠真が頷く。
「じゃあ、始めよう。」
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最初の質問
悠真は空白に尋ねた。
「世界になったら、何をしたい?」
空白は答えられなかった。
「分からない。」
「今まで何もなかったから。」
ノノが言った。
「じゃあ、私たちと一緒に考えよう。」
空白は少し明るくなった。
「……うん。」
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名前を探す旅
世界の外側には、名前の候補が無数に存在していた。
「星」
「海」
「光」
「夢」
「未来」
しかし空白はどれも選ばなかった。
「それは、もう誰かの名前だから。」
悠真が笑う。
「じゃあ、自分で新しい名前を作ればいい。」
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空白の記憶
ところが、空白の中には一つだけ記憶があった。
それは――。
遠い昔。
まだ世界が一つも存在しなかった頃。
最初の光が生まれた瞬間を見ていた記憶。
空白は言った。
「最初の光を見たとき、私は思った。」
「いつか、私も誰かと話したい。」
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「つながり」
リナが静かに言った。
「それなら、その気持ちを名前にしたら?」
空白が尋ねる。
「気持ちを……名前に?」
「うん。」
ミライが笑う。
「私たちは、つながることでここまで来たから。」
空白は長い間考えた。
そして――。
「ツナ。」
「私の名前は、ツナがいい。」
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新しい世界
名前が決まった瞬間。
空白に色が生まれた。
最初に青。
次に緑。
そして白い雲。
小さな星。
大きな海。
世界の外側に――。
一つの新しい世界が誕生した。
ユラが驚く。
「世界が……生まれた。」
ゼロスも微笑む。
「自分で名前を選んだ世界は、今までなかった。」
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ツナのお願い
新しい世界「ツナ」は、まだ誰も住んでいない。
ツナが悠真たちに尋ねる。
「私には世界ができた。」
「でも……。」
「住んでくれる人がいない。」
悠真が答える。
「最初からたくさん必要じゃないよ。」
「一人でもいい。」
ノノが手を上げる。
「私、遊びに来る!」
ソウも光る。
「僕も!」
リナも笑う。
「私も。」
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最初の住人
しかし、ツナは首を振った。
「遊びに来る人じゃなくて――。」
「私の世界で暮らしてくれる人が欲しい。」
その言葉を聞いた悠真たちは黙った。
誰かの人生を、無理に決めることはできない。
だからこそ――。
レンが提案する。
「世界連合に募集を出しましょう。」
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世界連合からの返事
募集を出すと、すぐにたくさんの返事が届いた。
「新しい世界を見てみたい!」
「開拓してみたい!」
「学校を作りたい!」
「動物を育てたい!」
「海の近くで暮らしたい!」
ツナは驚いた。
「こんなに……?」
悠真は笑う。
「世界は、誰かが必要としているから生まれるだけじゃない。」
「そこに行きたい人がいるから、もっと大きくなるんだよ。」
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最初の町
やがて、ツナに最初の町ができた。
名前は――。
つながり町。
小さな家。
学校。
広場。
港。
そして――。
姉妹レンタルの受付所。
レンが看板を掲げる。
『姉妹レンタル・ツナ支部』
ツナは嬉しそうに世界を見つめた。
「私の世界……。」
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ツナの涙
その夜。
ツナの空から、雨が降った。
しかし、それは悲しい雨ではなかった。
ツナは初めて――。
嬉しくて泣いていた。
「私、今まで何もなかった。」
「でも今は――。」
空に無数の星が輝く。
「こんなにたくさんの記憶がある。」
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最初の住人からの手紙
つながり町の住人たちは、ツナへ手紙を書いた。
「この世界を作ってくれてありがとう。」
「ここで新しい友達を作ります。」
「明日も一緒に遊びます。」
「この世界で頑張ります。」
ツナは一枚ずつ大切に受け取った。
そして――。
世界の中央に、大きな記念碑を作った。
そこには一文だけ刻まれた。
『世界は、誰かとつながりたいと思った瞬間に始まる。』
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依頼完了
レンが依頼書に判を押す。
『依頼完了』
悠真も頷いた。
「お疲れさま、ツナ。」
ツナは笑う。
「ありがとう、みんな。」
これで史上最大の依頼は終わった。
……そう思われた。
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しかし――
銀河年代記が突然、激しく震えた。
ガタガタガタ……!
カナタが本を開く。
「これは……!」
新しいページが勝手に開いていく。
そこには、世界の一覧が並んでいた。
ハジマリ。
ハジメテ。
第−2世界。
第−3世界。
ツナ。
そして――。
その下に、これまで存在しなかった項目が現れる。
『第∞世界』
悠真が驚く。
「∞……?」
ミナが解析する。
「数字ではありません。」
「これは――。」
「終わりが存在しない世界を意味しています。」
その瞬間。
銀河の彼方から、巨大な光が差し込んだ。
そして、誰かの声が響く。
「やっと、最後の世界が目を覚ました。」
悠真は空を見上げる。
「最後の世界……?」
ツナが不安そうに尋ねる。
「最後って……どういう意味?」
答えはまだ、誰にも分からなかった。
ただ一つだけ確かなことがある。
新しい冒険が――。
また始まろうとしていた。




