第-1世界の少女
第一世界「ハジマリ」の空に浮かんだ、謎の扉。
その上には――。
『第−1世界』
という文字が刻まれていた。
そして扉の向こうから聞こえた声。
「お姉ちゃん……。」
悠真たちは息をのんだ。
リナが扉に近づく。
「あなたは誰?」
すると、小さな声が返ってきた。
「私の名前は……ノノ。」
---
第−1世界
扉がゆっくり開く。
その向こうには、真っ暗な空間が広がっていた。
星もない。
太陽もない。
大地も見えない。
ただ、遠くに小さな光が一つだけ浮かんでいる。
その光の中に――。
一人の少女がいた。
「こんにちは。」
ノノは小さく手を振った。
---
何もない世界
悠真が尋ねる。
「ここには、他に誰かいるの?」
ノノは首を横に振る。
「いないよ。」
「ずっと一人?」
「うん。」
ミライが心配そうに近づく。
「寂しくない?」
ノノは少し考えてから答えた。
「寂しいよ。」
「だから、お姉ちゃんが欲しいの。」
---
姉妹レンタルの依頼
レンが受付表を取り出す。
「依頼内容は?」
ノノは答えた。
「一緒にいてくれるお姉ちゃんが欲しい。」
悠真が言った。
「じゃあ、誰かをレンタルしてみよう。」
ノノは嬉しそうに笑った。
「本当に?」
「うん。」
---
ところが……
ミナが調査を始める。
「おかしいです。」
「この世界には、生命反応がノノさん一人しかありません。」
カナタも星図を見る。
「それだけじゃない。」
「この世界には、時間そのものがほとんど流れていません。」
アカネが驚く。
「じゃあ、ノノはどうやって生きてるの?」
ノノは静かに答えた。
「私は――。」
「この世界そのものだから。」
---
世界の少女
全員が驚いた。
ノノは続ける。
「私が悲しいと、世界が暗くなる。」
「私が嬉しいと、少しだけ光が生まれる。」
「でも、一人だから……。」
ノノが俯く。
「世界を明るくできないの。」
悠真は静かに頷いた。
「だから、誰かと一緒にいたいんだね。」
---
最初のお姉ちゃん
そこでリナが前へ出た。
「じゃあ、私が一日だけお姉ちゃんになる。」
ノノが顔を上げる。
「本当に?」
「うん。」
リナが手を差し出す。
ノノはその手を握った。
その瞬間――。
パッ!
真っ暗だった世界に、小さな星が一つ生まれた。
---
世界が変わる
二人で歩く。
すると足元に道が生まれる。
リナが笑う。
花が咲く。
ノノが笑う。
空に青い色が広がる。
ミライも一緒に遊ぶ。
すると小さな森ができる。
ソラとカイが走り回る。
湖が生まれる。
第一世界のリナが、世界に少しずつ色を与えていく。
---
ノノのお願い
夕方。
ノノがリナに尋ねた。
「お姉ちゃん。」
「なに?」
「ずっとここにいてくれる?」
リナは少し困った顔をする。
「私は第一世界の管理者でもあるから……。」
ノノは俯く。
「そっか。」
すると――。
世界が再び暗くなり始めた。
---
悠真の提案
悠真がノノの前にしゃがむ。
「ノノ。」
「なに?」
「一人だけじゃなくてもいいんじゃない?」
「え?」
「第−1世界と第一世界をつなげればいい。」
「毎日誰かが遊びに来る。」
「リナも来る。」
「僕たちも来る。」
「世界連合のみんなも。」
ノノは目を輝かせた。
「本当に?」
---
新しい世界橋
ミカゲが世界橋の小型版を作る。
第一世界と第−1世界の間に、一本の橋が架かる。
橋には看板が掲げられた。
『いつでも遊びに来てね』
ノノは橋を見つめる。
「これなら……。」
「もう一人じゃない。」
---
第−1世界の名前
ノノは世界を見回した。
少しずつ星が増えている。
海もできた。
森もできた。
そして、空には虹まで架かっている。
ノノは言った。
「この世界にも名前が欲しい。」
悠真が笑う。
「何て名前にする?」
ノノは少し考えて――。
「『ハジメテ』がいい。」
「初めて誰かと会った世界だから。」
こうして第−1世界は――。
『ハジメテ』
という名前になった。
---
しかし、その時
世界橋の中央で、ミカゲが突然停止した。
『……異常を検知。』
ミナが画面を見る。
「どうしたの?」
ミカゲの声が低くなる。
『第−1世界よりさらに下位の座標を確認しました。』
悠真が驚く。
「さらに下?」
画面に新しい文字が浮かぶ。
『第−2世界』
カナタが青ざめる。
「そんな世界が……。」
すると、ハジメテの空に新しい扉が開いた。
今度は、扉の向こうから声が聞こえない。
代わりに――。
コン、コン。
誰かが内側から扉を叩いている。
ノノが悠真の袖をつかむ。
「……怖い。」
悠真は扉を見つめた。
「大丈夫。」
「みんなで一緒に行こう。」
そして扉が、ゆっくり開き始める。
その先に待っているのは――。
世界が生まれる前の、さらに深い場所だった。




