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第一世界からの依頼

第一世界・姉妹レンタル第一支部。


地下室に残されていた、一枚の依頼書。


そこには――。


依頼者:第一世界そのもの


と書かれていた。


リナは震える手で依頼書を持ち上げる。


「世界そのものが……依頼を出した?」


カナタが記録を調べる。


「第一世界の管理記録に間違いありません。」


悠真が尋ねる。


「依頼内容は?」


依頼書の文字がゆっくり浮かび上がった。


『もう一度、住人と出会いたい。』



---


世界の孤独


ミライが周囲を見る。


「第一世界には誰もいないの?」


リナが頷く。


「避難した人たちは別の世界へ移りました。」


「私はずっと戻ってくる人を待っていました。」


その時、地面が小さく揺れた。


ゴゴゴ……。


ミナが驚く。


「地面から生命反応!」


「第一世界は、まだ活動しています。」


悠真は微笑んだ。


「じゃあ、まだ終わってない。」



---


世界の声


突然、建物全体から声が響いた。


『……誰か、いますか?』


リナの目が大きくなる。


「この声……。」


『ずっと、待っていました。』


悠真が答える。


「僕たちはここにいるよ。」


しばらく沈黙。


そして――。


『ありがとう。』


第一世界が初めて笑ったように感じられた。



---


最初のお願い


世界の声は続けた。


『私には、まだ名前がありません。』


リナが驚く。


「第一世界なのに?」


『私は最初に作られた世界。』


『だから、誰も名前を付けませんでした。』


悠真は考える。


「じゃあ、自分で名前を選んだら?」


世界が静かになる。



---


世界自身の名前


海が青く輝く。


森が風に揺れる。


空に光が集まる。


そして――。


地面に大きな文字が浮かび上がった。


『ハジマリ』


あかりが笑う。


「『始まり』……。」


第一世界は答える。


『はい。』


『私には、それが一番ふさわしいと思います。』


こうして第一世界は、初めて自分の名前を持った。


ハジマリ。



---


新しい住人


しかし、依頼はまだ終わっていなかった。


『名前を持つことができました。』


『次は――友達が欲しいです。』


リナが笑う。


「じゃあ、姉妹レンタルの出番だね。」


悠真たちは第一世界の各地を探し始める。


海。


森。


砂漠。


雪山。


そして――。


かつての都市。



---


地下の小さな生命


都市の地下で、奇妙な反応が見つかった。


ミナが装置を見る。


「生命反応、二つ。」


悠真が地下へ向かう。


そこには、古いカプセルが二つ並んでいた。


プシュ……。


カプセルが開く。


中から出てきたのは――。


二人の小さな女の子。


二人はお互いを見て、同時に言った。


「あなた、誰?」



---


姉妹だった


リナが古い記録を確認する。


「この二人……第一世界の最後の避難計画に登録されています。」


「姉妹です。」


二人は驚いた。


「姉妹?」


「私たちが?」


記録によると、二人は幼い頃に眠らされ、そのまま長い間カプセルの中にいたらしい。


二人には、お互いの記憶がなかった。



---


最初の依頼


リナが受付表を出した。


『依頼――姉妹として、もう一度一緒に過ごしたい。』


悠真が笑う。


「これなら、姉妹レンタルの出番だね。」


二人は戸惑いながらも、一緒に街を歩く。


最初は何を話していいか分からない。


でも――。


一緒に花を見た。


一緒に海を見た。


一緒に笑った。



---


記憶が戻る


夕方。


二人が古い公園に来る。


突然、一人が言った。


「……ここ、知ってる。」


もう一人も目を見開く。


「私も。」


二人の頭の中に、昔の記憶が少しずつ戻ってくる。


一緒に遊んだこと。


一緒に笑ったこと。


そして、避難する直前に交わした約束。


「いつか、また一緒に遊ぼう。」



---


第一世界が泣いた


その瞬間。


空から雨が降り始めた。


しかし、嫌な雨ではない。


キラキラと光る雨だった。


ミナが分析する。


「第一世界のエネルギーが急激に回復しています。」


リナが空を見る。


「ハジマリが……泣いてる。」


悠真は笑った。


「嬉しいんだよ。」



---


世界の復活


二人の姉妹が手をつなぐ。


すると――。


都市に明かりが灯る。


海に魚が戻る。


森に鳥が飛び始める。


草原に花が咲く。


そして、遠くの空に巨大な虹が架かった。


第一世界――ハジマリは、少しずつ生き返っていく。



---


リナの決断


リナは悠真たちを見る。


「私、ここに残ってもいいかな。」


悠真が尋ねる。


「第一世界の管理者として?」


「ううん。」


リナは笑う。


「この世界の住人として。」


「ずっと管理するだけじゃなくて、自分もここで暮らしてみたい。」


悠真は頷いた。


「それが一番いいと思う。」



---


最後の記録


第一世界の姉妹レンタル第一支部。


受付カウンターに、新しい看板が掲げられた。


『営業再開』


リナが受付に座る。


その隣には、救出された二人の姉妹。


そして新しい依頼が次々に届き始める。


『友達が欲しい。』


『家族と仲直りしたい。』


『知らない世界へ行ってみたい。』


リナは笑った。


「全部、受付します。」



---


そして、新しい扉


きずなの船へ戻る途中。


悠真たちは第一世界の空に、見慣れない扉が浮かんでいることに気づいた。


ミカゲが解析する。


『新しい世界への接続口です。』


カナタが首をかしげる。


「また未知の世界?」


しかし、今回は少し違った。


扉の上には文字があった。


『第−1世界』


あかりが驚く。


「マイナス1……?」


リナが扉を見つめる。


「そんな世界……聞いたことがない。」


すると扉の向こうから、幼い声が聞こえた。


「お姉ちゃん……。」


全員が振り返る。


「今度は、私をレンタルして。」


悠真たちは顔を見合わせた。


新たな依頼は――。


世界番号すら存在しない、第−1世界から届いた。

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