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第零世界

きずなの船は、宇宙地図に突然現れた「第零世界」へ向かっていた。


ミナが何度も座標を確認する。


「不思議です。」


「何が?」


「この世界は、他の世界より前に存在しているはずなのに、今まで一度も観測できませんでした。」


悠真が窓の外を見る。


「まるで、ずっと隠れていたみたいだね。」



---


第零世界


しばらくすると、船の前に巨大な球体が現れた。


色は――真っ白。


星も海も大地も見えない。


ただ白い。


あかりが言った。


「何もない世界なのかな?」


すると突然、白い球体に一本の青い線が走った。


ピシッ……。


そこから巨大な門が開く。


『ようこそ。』


声が響いた。


『第零世界へ。』



---


白い世界


船が門を通る。


そこには――。


街があった。


しかし、建物も道路もすべて真っ白。


人々も白い服を着ている。


空も白い。


雲も白い。


まるで、まだ色が決まっていない世界だった。


一人の少女が近づいてくる。


「私はノア。」


「第零世界の案内役です。」



---


色のない理由


悠真が尋ねる。


「どうして全部白いの?」


ノアは空を見上げた。


「私たちには、色を選ぶ力がないからです。」


「この世界は、まだ完成していません。」


ミナが驚く。


「でも、文明は存在しています。」


「はい。」


「建物もあります。」


「はい。」


「生命もあります。」


ノアは頷いた。


「でも、一番大切なものがありません。」



---


「物語」


ノアが胸に手を当てる。


「私たちには、物語を選ぶ力がないんです。」


悠真が考える。


「つまり、全部決められている?」


「そうです。」


「笑うことも。」


「泣くことも。」


「誰と仲良くなるかも。」


「全部、最初から決められています。」


あかりが驚く。


「それじゃあ、自分で選べないじゃん。」



---


第零世界の姉妹


ノアには妹がいた。


名前はユイ。


しかし二人は、同じ家に住んでいるのにほとんど話さない。


なぜなら――。


「姉妹は仲良くする」


というルールが決められているから。


悠真が首をかしげる。


「仲良くすることが決まってるなら、問題ないんじゃない?」


ノアは寂しそうに笑う。


「違います。」


「仲良くしたいから仲良くすることが、できないんです。」



---


姉妹レンタル開始


悠真は二人を見た。


「じゃあ、今日だけルールをなくしてみよう。」


ノアとユイが驚く。


「ルールを……?」


「うん。」


あかりが受付表を出す。


依頼内容は――。


『お互いに、自分の気持ちで一日を過ごす。』


これまでにない依頼だった。



---


最初の選択


ノアは妹を見る。


「ユイ。」


「なに?」


「……一緒に散歩する?」


ユイは少し考える。


「今日は、一人でいたい。」


ノアは驚く。


しかし――。


「そっか。」


それだけ言って笑った。


ユイも少し驚いた。


「怒らないの?」


「うん。」


「自分で決めたんだもん。」



---


初めての色


その瞬間。


ユイの足元に、小さな青い花が咲いた。


ノアが驚く。


「花……?」


ミナが分析する。


「色が発生しています。」


白い世界に、初めて青色が生まれた。



---


色が増えていく


ユイが笑う。


その笑顔から黄色い光。


ノアが笑う。


その笑顔から赤い光。


ソラがルカと遊ぶと緑色。


アカネとスイが手をつなぐと紫色。


世界橋から金色。


そして始原の民から銀色。


第零世界は、少しずつ色を取り戻していく。



---


世界が完成する?


ノアが空を見る。


「この世界……変わってる。」


悠真が答える。


「うん。」


「たぶん、今まで誰も自分で選ばなかったから。」


ノアが笑う。


「じゃあ、これからは自分たちで選べる?」


「もちろん。」



---


最初のルール


第零世界の住人たちは、最初の新しいルールを決めることにした。


それは――。


『自分で決めていい。』


たったそれだけ。


でも、その言葉が世界全体に広がった瞬間――。


白い空が青くなる。


大地が緑になる。


海が青く輝く。


街には赤や黄色の建物が並ぶ。


第零世界が、初めて「自分の色」を持った。



---


しかし、異変が……


ミカゲが突然、通信を入れた。


『悠真さん。』


「どうした?」


『第零世界の完成に伴い、重大な現象が発生しています。』


ミナが画面を見る。


「これは……。」


宇宙地図上で、これまで存在していた無数の世界が一本の線でつながっていく。


ハジメ。


トリア。


世界の外側。


始原の領域。


第零世界。


すべてが一つの巨大な輪になる。



---


世界の輪


カナタが呟く。


「世界が……一つのネットワークになっていく。」


その中央に、巨大な光が生まれた。


始原の民の代表が通信してくる。


『これは……「始まりの光」です。』


悠真が尋ねる。


「何が起こるの?」


代表は答えた。


『新しい世界が生まれます。』


あかりが驚く。


「また世界が?」


『はい。』


しかし、その直後――。


代表の声が震えた。


『ただし……今回は違います。』



---


新しい世界の正体


宇宙の中央に現れた光が、巨大な卵の形へ変わっていく。


ミカゲが解析する。


『世界規模……測定不能。』


カナタが銀河年代記を開く。


ページはすべて白紙。


そして最後のページに、一文字だけ浮かんだ。


『∞』


無限。


悠真は驚きながらも笑った。


「これって……。」


あかりが頷く。


「新しい冒険の始まりだね。」


その巨大な卵が、ゆっくりとひび割れる。


ピシッ……。


そして中から――。


「こんにちは。」


と、誰かの声が聞こえた。

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