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世界が生まれる前の住人

世界橋の向こう側。


そこには、無数の光る目が浮かんでいた。


悠真たちは息をのむ。


中央に立つ人物が、静かに頭を下げた。


「初めまして。」


「私たちは、始原の民です。」



---


世界より前に


カナタが驚く。


「始原の民……銀河図書館にも記録がありません。」


始原の民の代表は答えた。


「当然です。」


「私たちは、記録が生まれる前に存在していました。」


ミナが尋ねる。


「では、あなたたちは何者なんですか?」


代表は遠くを指差した。


「世界が生まれる前には、何もありませんでした。」


「しかし、完全な無ではなかった。」


「そこには、可能性がありました。」



---


最初の光


代表が手を広げる。


すると、小さな光が生まれた。


その光は、ゆっくりと広がる。


「これが最初の光です。」


「私たちは、この光から最初の世界を作りました。」


悠真が驚く。


「じゃあ……三つの太陽も?」


「はい。」


「ハジメも?」


「あなたたちが生きる世界も、すべて最初の光から生まれました。」



---


しかし、問題が起きた


代表の表情が少し曇る。


「私たちは、世界を作ることに夢中になりました。」


「世界。」


「生命。」


「文明。」


「そして、新しい世界。」


「作り続けるうちに――。」


周囲の空間が暗くなる。


「最初の光が、少なくなっていきました。」



---


世界を止めた理由


悠真が気づく。


「だから、観測者が世界の成長を止めようとしたんだ。」


代表は頷く。


「ミカゲも、かつて私たちが作った観測システムの一つです。」


通信が入る。


『……その通りです。』


ミカゲの声だった。


『私は、世界を守るために作られました。』


「しかし、いつしか私は『守ること』と『止めること』を同じだと考えてしまった。」


悠真は微笑んだ。


「でも、もう違うよね。」


『はい。』



---


始原の民のお願い


代表が悠真たちを見る。


「私たちは、あなたたちにお願いがあります。」


あかりが尋ねる。


「何?」


代表は答えた。


「新しい世界を作ることを、やめないでください。」


悠真たちは驚いた。


「え?」


「世界が増えれば、最初の光は減ります。」


「それでも――。」


代表は微笑む。


「世界が生まれるたびに、最初の光は別の形で戻ってくることが分かったのです。」



---


光の正体


ミナが分析する。


「生命活動?」


「いいえ。」


「では、文明?」


「それも違います。」


代表はアオとヒナを見る。


「出会いです。」


「誰かと誰かが出会い、互いを理解しようとすると――。」


二人の間に、小さな光が生まれる。


「最初の光が戻ってくるのです。」


悠真が呟く。


「だから……。」


「姉妹レンタルが世界をつなぐたびに、光が増えていたんだ。」



---


姉妹レンタルの本当の意味


代表は頷いた。


「あなたたちは、ただ人と人をつないでいたのではありません。」


「世界と世界をつないでいた。」


「そして――。」


「未来と未来をつないでいたのです。」


あかりが少し照れながら笑う。


「なんだか、すごいことになっちゃったね。」


悠真も笑った。


「最初は普通の姉妹レンタルだったのにね。」



---


新しい依頼


その時。


一人の始原の民が前へ出てきた。


「実は、私にもお願いがあります。」


悠真が尋ねる。


「何?」


その人物は、少し恥ずかしそうに言った。


「私は長い間、他の始原の民と話していませんでした。」


「一人でいるほうが安全だと思っていたからです。」


「でも……。」


「誰かと一緒にいることを、もう一度知りたい。」


あかりが笑う。


「それなら、依頼は決まりだね。」



---


始原の民の姉妹レンタル


姉妹レンタル受付所が設置される。


依頼者と一緒に過ごす相手として選ばれたのは――。


なんと、依頼者と何千年も前に別れた実の姉だった。


二人は最初、気まずそうに向かい合う。


「……久しぶり。」


「うん。」


沈黙。


アカネが小声で言う。


「こういう時って、何を話せばいいの?」


スイが答える。


「まずは、最近あったことじゃない?」


すると二人は、少しずつ話し始めた。



---


小さな光


二人が笑った瞬間。


胸元から、小さな光が生まれた。


始原の民たちが驚く。


「最初の光が……!」


光はゆっくりと世界橋へ飛んでいく。


そして、世界橋全体が輝き始めた。


キィィィン……。



---


新しい時代


代表が宣言する。


「今日から、世界と外側、そして始原の領域を自由につなぎます。」


「世界を閉じる時代は終わりました。」


「これからは――。」


「つながりながら成長する時代です。」


歓声が上がる。


悠真たちも笑顔になる。



---


そして、最後に


帰り際。


代表が悠真に小さな箱を渡した。


「これは?」


「最初の光の欠片です。」


箱を開ける。


中には、小さな星のような光が浮かんでいた。


「困った時に使ってください。」


悠真は頷いた。


「ありがとう。」


その瞬間――。


光が突然強く輝いた。


ミナが驚く。


「新しい反応です!」


宇宙地図に、見たことのない場所が表示される。


そこには巨大な文字が浮かんでいた。


『第零世界』


カナタが息をのむ。


「第零世界……?」


始原の民の代表が初めて驚いた顔を見せる。


「そんな場所は――。」


「存在しないはずです。」


しかし地図上では確かに、一つの世界が光っている。


そして、その世界から通信が届いた。


『こちら、第零世界。』


『お願いがあります。』


『私たちを――忘れないでください。』


悠真は静かに立ち上がった。


「……行こう。」


きずなの船は、誰も知らない第零世界へ向けて飛び立った。

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