選ばれた未来
午後六時。
静かな部屋に、時計の音だけが響いていた。
「春川悠真さん。」
担当の女性がもう一度尋ねる。
「あなたが選ぶ答えを聞かせてください。」
さくら、ひまり、美咲は黙って悠真を見つめていた。
悠真はゆっくり息を吸う。
「俺が選ぶのは……。」
三人の表情が少し緊張する。
「誰か一人との別れじゃない。」
「みんなとの絆を大切にする未来です。」
部屋に静かな驚きが広がった。
「……どういう意味ですか?」
女性が尋ねる。
悠真は続けた。
「さくらは、いつも明るく家の中を笑顔にしてくれた。」
「ひまりは、最初は冷たかったけど、本当は誰より優しかった。」
「美咲は、ずっと俺のそばにいてくれた。」
「三人とも、俺にとって大切な人です。」
「だから、誰かを選ぶことで誰かを失う未来は選びたくありません。」
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しばらく沈黙が続いた。
やがて、担当の女性が微笑む。
「……合格です。」
「え?」
悠真が驚く。
「最終選択の本当の目的は、恋愛相手を決めることではありませんでした。」
「大切な人を、自分の都合ではなく相手の幸せを考えて大切にできるかを見るための試験です。」
さくらは胸をなで下ろす。
「よかった……。」
ひまりも小さく笑った。
「……心配して損した。」
「でも、少しだけ安心した。」
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その後。
姉妹レンタルの契約は終了した。
しかし、三人との関係が終わったわけではなかった。
数週間後。
学校帰りの道。
「悠真!」
振り返ると、さくらとひまりが歩いてくる。
「今日は遊びに来た。」
「勝手に決めるなよ。」
悠真が笑う。
ひまりは小さく笑った。
「でも、嫌じゃないでしょ?」
「まあな。」
そこへ美咲も駆けてくる。
「また三人だけで集まってる!」
「美咲も一緒に来る?」
さくらが声をかける。
「もちろん!」
四人の笑い声が夕暮れの街に響いた。
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それから数か月後。
悠真の家には、以前と同じようなにぎやかな時間が戻っていた。
朝にはさくらの料理の音。
ひまりの静かなツッコミ。
美咲の明るい笑い声。
そして悠真は思う。
「家族って、血のつながりだけじゃないのかもしれない。」
「大切にしたいと思える人がいること。」
それが本当の絆なのだと。
しかしある日――。
悠真のスマホに、再び見覚えのある通知が届く。
『姉妹レンタル 新たな依頼が開始されました。』
「……え?」
画面には、新しい名前が表示されていた。
『レンタルするのは、双子の姉妹です。』
新たな物語の幕が上がろうとしていた――。




