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世界の外側

きずなの船は、星のない暗闇へ向かって進んでいた。


前方には何もない。


星もない。


銀河もない。


ただ、真っ黒な空間だけが広がっている。


あかりが窓の外を見る。


「本当に何もないね……。」


ミナがレーダーを確認する。


「正確には『何もない』のではありません。」


「空間そのものが、観測できません。」



---


境界線


しばらく進むと、目の前に巨大な光の線が現れた。


まるで宇宙を囲む壁のようだ。


ミカゲから通信が入る。


『あれが世界境界です。』


悠真が尋ねる。


「この先が、世界の外側?」


『はい。』


「危険なの?」


『……記録がありません。』


あかりが苦笑する。


「それ、一番怖いやつじゃない?」



---


境界を越える


悠真は操縦レバーを握る。


「行こう。」


きずなの船が光の線へ近づく。


ゴォォォ……。


船体が震える。


そして――。


スッ。


境界を通り抜けた。



---


音のない世界


そこには、本当に何もなかった。


星がない。


光もない。


上下もない。


時間さえ感じられない。


ミナが驚く。


「船の時計が停止しています。」


あかりが言う。


「えっ?」


「時間の流れが存在しないようです。」


悠真は周囲を見る。


「じゃあ、どうして船は動いてるの?」


ミナにも分からなかった。



---


小さな光


その時。


遠くに、小さな光が現れた。


一つ。


二つ。


三つ。


やがて無数の光になる。


それらは星ではなかった。


小さな球体だった。


そして、その球体の中には――。


世界が入っていた。



---


世界の卵


悠真が驚く。


「世界が……浮かんでる?」


ミカゲが答える。


『推測ですが、あれは「世界の卵」です。』


「世界の卵?」


『まだ完成していない世界です。』


あかりが近づいて見る。


中には小さな海。


小さな大地。


小さな空。


そして――。


小さな光る生き物。



---


「世界をください」


突然、通信が入る。


『お願いします。』


悠真が尋ねる。


「君は誰?」


すると、一つの世界の卵が近づいてきた。


『私は、この世界の管理者です。』


『でも、私たちには「物語」がありません。』


『だから、世界として完成できないのです。』



---


世界を作る方法


ミナが分析する。


「この世界には、環境も生命も存在します。」


「足りないのは――。」


あかりが答えた。


「物語?」


管理者が言う。


『はい。』


『誰かが生きて、出会って、選択すること。』


『それが始まらない限り、世界は完成しません。』



---


姉妹レンタルの出番


悠真は笑った。


「だったら、僕たちが手伝える。」


管理者が驚く。


『どうやって?』


悠真は答える。


「姉妹レンタルだよ。」


「誰かと誰かが出会えば、そこから物語が始まる。」


あかりも頷く。


「姉妹じゃなくてもいい。」


「友達でも、仲間でもいい。」



---


最初の住人


世界の卵の中から、小さな生き物が二体出てきた。


一体は丸くて青い。


もう一体は細長くて黄色い。


二体はお互いを見つめる。


「……こんにちは。」


「こんにちは。」


まだ名前もない。


まだ何も知らない。


でも――。


二体は手をつないだ。


その瞬間。


世界の卵に、最初の文字が浮かんだ。


『はじまり』



---


世界が生まれる


海が広がる。


大地が固まる。


空に光が生まれる。


そして、小さな世界に一本の木が生えた。


管理者が驚く。


『世界が……動き始めました。』


悠真が笑う。


「物語の最初って、案外シンプルなんだよ。」



---


二人の名前


青い生き物が言った。


「僕は……アオ。」


黄色い生き物が答える。


「私は……ヒナ。」


二人は笑う。


そして、世界に最初の町を作り始めた。


その町の名前は――。


「はじまり町」



---


しかし……


世界の卵が一つ完成したことで、周囲の卵にも変化が起きた。


一つ。


二つ。


十。


百。


次々と光り始める。


ミナが驚く。


「連鎖しています!」


悠真が振り返る。


「世界が一つ完成したことで、他の世界にも影響している?」


ミカゲが答える。


『そのようです。』


しかし――。


その直後。


世界の外側に、巨大な亀裂が走った。


バキィィィン!


あかりが叫ぶ。


「何!?」


ミカゲの声が緊張する。


『警告。』


『世界の外側そのものが、崩壊を始めています。』



---


外側の住人


亀裂の向こうから、巨大な影が現れた。


その姿は見えない。


ただ、声だけが響く。


『世界を作るな。』


悠真が尋ねる。


「どうして?」


『世界が増えれば、外側は消える。』


『私たちが住む場所がなくなる。』


あかりが驚く。


「世界の外側にも……住んでる人がいるの?」


影は答えた。


『いる。』


『私たちは、世界が生まれる前からここにいる。』



---


二つの未来


ミカゲが分析する。


「世界を増やせば、外側が縮小する。」


「外側を守れば、新しい世界は生まれません。」


悠真は黙って考える。


世界を守るか。


外側を守るか。


どちらか一つを選ばなければならない――。


と思った、その時。


アオとヒナが近づいてきた。


「ねえ。」


悠真が見る。


「世界と外側って――。」


「一緒に住めないの?」



---


悠真は目を見開いた。


「あ……。」


あかりも気づく。


「最初から、二つを分けて考える必要なんてないのかも。」


ミナが計算を始める。


「もし世界と外側をつなぐ構造を作れば……。」


悠真が笑う。


「やってみよう。」


世界の外側で始まる、新しい大冒険。


その鍵を握るのは――。


まだ生まれたばかりの二人だった。

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