姉妹レンタルーー最初の日
銀河図書館の最上階。
悠真たちの前に現れたのは、銀河そのものよりも巨大な本――。
『銀河年代記』
その最初のページには、
『姉妹レンタル――最初の日』
と書かれていた。
悠真は驚く。
「姉妹レンタルって……こんな昔からあったの?」
リクが首を振る。
「違います。」
「この本に書かれているのは、姉妹レンタルが生まれるもっと前の出来事です。」
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最初の二人
ページがゆっくり開く。
そこには、二人の少女がいた。
エナとリナ。
はじまりの庭で出会った、最初の姉妹。
しかし、二人の姿の周りには――。
まだ何もない。
星もない。
世界もない。
リクが説明する。
「この二人が、最初に『誰かと一緒にいたい』と思ったことから、最初の世界が生まれたんです。」
あかりが目を輝かせる。
「じゃあ、姉妹レンタルって……。」
「はい。」
「『一緒にいたい』という気持ちから始まったんです。」
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最初の世界
ページがめくられる。
エナとリナの周囲に、小さな光が生まれる。
一つ。
二つ。
三つ。
やがて無数の光になった。
それぞれが世界へ変わっていく。
地球。
フェリス。
セレニア。
そしてハジメ。
悠真は今までの旅を思い出した。
「全部、ここから始まったんだ。」
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黒い影、再び
突然――。
バサッ!
巨大な黒い影がページに飛び込んだ。
『完成された世界』と名乗った存在だ。
「だからこそ、ここを終わらせる。」
リクが叫ぶ。
「銀河年代記が消されます!」
黒いインクがページを覆っていく。
エナとリナの姿も、少しずつ消えていく。
あかりが叫ぶ。
「やめて!」
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記録を守る方法
ミナが本を調べる。
「通常の方法では止められません。」
悠真が尋ねる。
「じゃあ、どうする?」
ミナはページを指した。
「この本は、誰かが『覚えていること』によって記録を維持しています。」
あかりが気づく。
「つまり……。」
「私たちが覚えていればいい!」
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みんなの記憶
悠真は通信を開いた。
「みんな、聞こえる?」
銀河中の世界へ通信がつながる。
ハジメ。
フェリス。
セレニア。
地球。
失われた世界。
ミライ。
これまで旅したすべての場所。
悠真が言った。
「エナとリナを覚えている人!」
最初に声が届いた。
「覚えてる!」
ソラだった。
「エナとリナ!」
ナギも続く。
「僕も!」
ユナ。
ミオ。
ノア。
リナ。
ミライのユイ。
次々に声が重なる。
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名前を呼ぶ
銀河中から、二人の名前が響く。
「エナ!」
「リナ!」
「エナ!」
「リナ!」
消えかけていた文字が戻っていく。
黒いインクが押し返される。
影が震える。
「なぜ……。」
悠真が答える。
「物語は、本の中だけにあるんじゃない。」
「誰かが覚えている限り、続いていくんだ。」
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黒い影の正体
影の姿が少しずつ崩れていく。
その中から、一人の少年が現れた。
悠真が驚く。
「人……?」
少年は俯いている。
「僕は……。」
「『完成された世界』を作ろうとした管理者です。」
リクが尋ねる。
「どうしてそんなことを?」
少年は答えた。
「僕の世界では、失敗ばかりだった。」
「誰かが傷つくたび、僕は思った。」
「最初から全部決まっていれば、誰も失敗しないのにって。」
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完璧じゃなくても
悠真は少年の隣に座った。
「失敗しない世界なんて、たぶんつまらないよ。」
少年が顔を上げる。
「……どうして?」
「失敗するから、次はどうするか考えられる。」
「あきらめずにやり直せる。」
「それに――。」
悠真は笑った。
「誰かと一緒なら、失敗しても笑えることがある。」
少年は黙っていた。
そして、小さく笑った。
「……そうか。」
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新しい名前
少年は黒いインクを消した。
「僕も、名前を決めていい?」
あかりが笑う。
「もちろん。」
少年は少し考えて、
「カナタ。」
と名乗った。
「まだ見えない未来の向こうへ行きたいから。」
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銀河年代記
カナタが本に手を触れる。
すると、白紙になっていたページがすべて元に戻った。
さらに、新しいページが生まれる。
そこには――。
『エナとリナが最初の約束をした。』
『その約束は、無数の世界へ広がった。』
そして最後に、
『しかし、物語はまだ終わっていない。』
と記された。
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新しい司書
リクがカナタを見る。
「銀河図書館で働いてみない?」
カナタが驚く。
「僕が?」
「うん。」
「消えそうな物語を守る仕事。」
カナタは笑った。
「やってみたい。」
こうして銀河図書館には、新しい司書が加わった。
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帰り道
悠真たちは図書館を出る。
あかりが言った。
「なんだか、最初の頃よりずっと大きな旅になったね。」
悠真が笑う。
「うん。」
ミナが船の航路を確認する。
「次の目的地は?」
悠真は窓の外を見る。
すると、遠くに一つの青い光が見えた。
その光から通信が入る。
『こちら、ハジメ。』
ソラの声だ。
『大変!』
悠真が尋ねる。
「今度は何?」
『空に大きな卵が浮かんでる!』
あかりが目を丸くする。
「卵!?」
ソラが続ける。
『しかも、動いてる!』
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きずなの船がハジメへ向かって飛び立つ。
その頃、ハジメの空では――。
巨大な銀色の卵が、ゆっくりとひび割れ始めていた。
ピシッ……。
そして卵の中から、
「グルルル……。」
という声が聞こえた。
悠真たちが次に出会うのは――。
ハジメで初めて生まれる、空を飛ぶ生き物。




