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消えた海

きずなの船は、急いでハジメへ戻った。


通信画面には、ソラが映っている。


「大変なんだ!」


「昨日まであった海が、朝になったら全部なくなってた!」


悠真が尋ねる。


「全部?」


「うん!」



---


海のない星


ハジメに到着すると、そこには信じられない光景が広がっていた。


昨日まで青かった海が――。


すっかり消えている。


海底には、大きな谷と岩山が残っていた。


あかりが驚く。


「本当に全部なくなってる……。」


ミナが分析する。


「蒸発したわけではありません。」


「海水そのものが、別の場所へ移動しています。」


悠真が聞く。


「どこへ?」


ミナはレーダーを見る。


「地下です。」



---


地下へ流れた海


ソラが言った。


「地下に洞窟ができてるんだ。」


「昨日、地面から変な音がしたよ。」


悠真たちは海底だった場所を調べる。


すると、巨大な穴を発見した。


ゴォォォ……。


穴の奥から、水の音が聞こえる。


あかりが言う。


「海が地下に流れ込んでるんだ。」



---


ハジメの心


ミナは星そのものを調べ始めた。


「不思議です。」


「この星には、通常の惑星にはない巨大なエネルギー反応があります。」


悠真が尋ねる。


「何のエネルギー?」


「生命活動に近い反応です。」


ソラが驚く。


「ハジメが生きてるってこと?」


ミナは頷く。


「その可能性があります。」



---


ハジメの声


その時。


大地が小さく揺れた。


ゴゴゴ……。


そして――。


空から声が聞こえた。


『ソラ……。』


ソラが空を見上げる。


「ハジメ?」


『海は……なくしたくなかった。』


悠真たちは驚く。


惑星そのものが話している。


『でも、海が増えすぎてしまった。』


ミナが理解する。


「この星は、まだ水の量を調整できないんです。」


「生まれたばかりだから。」



---


最初の自然災害


ハジメはまだ生まれたばかり。


大気も地形も不安定だった。


海を作ったものの、水を支える仕組みができていなかった。


ソラが心配そうに言う。


「じゃあ、海は戻せないの?」


ミナは答える。


「戻せます。」


「ただし、全部戻すとまた同じことが起こります。」



---


海を作り直す


悠真は考えた。


「だったら、海を一つにしなくてもいいんじゃない?」


「小さな海をいくつか作れば?」


ミナが計算する。


「可能です。」


あかりが笑う。


「じゃあ、みんなで作ろう!」


ソラも元気に答える。


「うん!」



---


新しい海


悠真たちは地下に流れた水を少しずつ地表へ戻した。


そして、大きな海を一つ作るのではなく、


小さな海。


湖。


川。


湿地。


それぞれを作っていった。


やがて――。


ハジメの大地に、水の流れが生まれた。


サラサラ……。


川が海へ流れ込む。


小さな魚のような生物まで生まれた。


ソラが大喜びする。


「魚だ!」



---


ハジメの笑顔


ハジメの空に雲が生まれる。


雲から雨が降る。


雨は川になり、海へ流れる。


今度は海が消えない。


ミナが確認する。


「水循環が完成しました。」


悠真が笑う。


「これで、ハジメもちゃんとした星になっていくね。」


ソラが海辺に座る。


「ありがとう。」



---


新しい住人


ところが、その夜。


海岸に見慣れない足跡があった。


ソラが見つける。


「誰か来たのかな?」


足跡は海から続いている。


そして――。


岩陰から、小さな生き物が顔を出した。


青い体。


大きな耳。


そして、背中に小さな貝殻。


「こんにちは。」


ソラが驚く。


「しゃべった!」


生き物は笑う。


「僕は海から生まれました。」


「名前はまだありません。」


悠真が笑った。


「また名前を考えることになりそうだね。」



---


ハジメの姉妹


ソラはその生き物を見つめる。


「名前……。」


少し考えてから言った。


「ナギはどう?」


「海が静かになるときの名前。」


小さな生き物は嬉しそうに笑った。


「ナギ!」


こうしてハジメには――。


二人目の住人が生まれた。


ソラとナギ。


二人は海辺で並んで座った。



---


その夜。


原初局の記録に、新しいページが追加された。


『世界名:ハジメ』


『住人:ソラ、ナギ』


『新たな海と水循環、完成。』


そして最後に――。


『この世界は、まだ成長途中。』



---


きずなの船がハジメを離れる。


悠真が振り返る。


「次に来るときは、もっと変わってるかもね。」


あかりが笑う。


「森もできてるかな?」


ミナが答える。


「可能性は高いです。」


しかし、船がハジメを離れた直後。


ナギが海の中から何かを見つけた。


それは――。


銀色に輝く小さな鍵。


ナギが鍵を拾う。


すると、海の底から巨大な扉が浮かび上がった。


扉には、古い文字でこう刻まれている。


『この星が生まれる前から、ここで待っている。』


ナギはソラを呼ぶ。


「ソラ……。」


二人は、海底の扉を見つめた。


ハジメは生まれたばかりの星。


なのに――。


その地下には、星より古い何かが眠っていた。

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