原初局への招待
五つの世界を結んだ光の輪。
その中央に、新しい座標が浮かんでいた。
『姉妹レンタル本部・原初局』
場所は――銀河の中心。
悠真は画面を見つめる。
「とうとう本部が出てきたか。」
あかりが笑う。
「今までずっと、いろんな場所で姉妹レンタルをしてきたもんね。」
ミナも頷く。
「原初局が本当に存在するなら、姉妹レンタルの歴史をすべて知っている可能性があります。」
ソウタが尋ねる。
「行ってみる?」
悠真は即答した。
「もちろん。」
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銀河の中心へ
きずなの船は、銀河中心へ向かって進んだ。
途中で、これまで出会った世界から次々と通信が入る。
フェリス。
セレニア。
地球A。
地球B。
第三地球。
第四地球。
アースリア。
みんなが、
「気をつけて!」
「帰ってきてね!」
「新しいことが分かったら教えて!」
と声をかけてくれる。
あかりが笑った。
「すごいね。」
「最初は数人だったのに。」
悠真も窓の外を見る。
「今は、こんなにたくさんの世界がつながってる。」
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銀河中心
やがて、巨大な光が見えてきた。
それは星ではなかった。
銀河中心を丸ごと囲むような、巨大なリング状の建造物。
ミナが絶句する。
「大きすぎます……。」
悠真が尋ねる。
「これが原初局?」
「おそらく。」
船が近づくと、リングの一部が開いた。
ゴゴゴゴゴ……。
そして通信が入る。
『きずなの船、入港を許可します。』
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原初局
内部には巨大な都市が広がっていた。
無数の宇宙船。
何万もの通信端末。
そして、銀河中の世界から送られてきた記録。
壁一面に、これまでの姉妹レンタルの歴史が表示されている。
悠真は驚いた。
「こんなにたくさん……。」
ミナが答える。
「記録数、推定――数十億件。」
あかりが目を丸くする。
「数十億!?」
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そのとき、一人の女性が歩いてきた。
白い服。
長い髪。
穏やかな笑顔。
「ようこそ。」
悠真が尋ねる。
「あなたは?」
女性は答えた。
「私の名前はセナ。」
「原初局の管理者です。」
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最初の姉妹
セナは悠真たちを大きな記録室へ案内した。
中央には、一つの小さな箱が置かれている。
セナが箱を開ける。
中に入っていたのは――。
古い紙。
そして、二つの名前。
ユナ
ミナト
悠真は驚いた。
「オリジンにいた二人……。」
セナが頷く。
「そうです。」
「姉妹レンタルの始まりは、制度ではありませんでした。」
「ただの約束だったのです。」
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最初の約束
セナが記録を再生する。
遠い昔。
ユナとミナトが、オリジンの小さな家で話している。
『また会おう。』
それだけの約束。
でも、その約束を残した人々が、
「遠く離れた人同士でも、また会える仕組みを作ろう」
と考えた。
それが少しずつ広がり――。
姉妹レンタルになった。
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悠真が尋ねる。
「じゃあ、原初局は何のためにあるんですか?」
セナは笑った。
「記録するためだけではありません。」
「つながりが途切れないようにするためです。」
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原初局の危機
ところが、セナの表情が変わる。
「しかし――。」
「今、原初局は危機にあります。」
ミナが尋ねる。
「何が起きているんですか?」
セナは巨大な画面を表示する。
そこには、銀河の外側から迫る巨大な黒い領域が映っていた。
『無記録領域』
悠真が驚く。
「何これ?」
「この領域に入った世界は、記録から消えていきます。」
あかりが言う。
「記録から?」
「はい。」
「その世界が存在したこと自体が、誰にも知られなくなっていくのです。」
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忘れられる世界
セナによると、すでにいくつかの世界が無記録領域に飲み込まれた。
そこに住んでいた人々。
文化。
歴史。
そして――。
姉妹の記憶。
すべてが失われつつある。
悠真は静かに言った。
「それは、止めないと。」
セナは頷く。
「だから、あなたたちを呼びました。」
「僕たちを?」
「はい。」
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なぜ悠真たちなのか
セナは、一枚の記録を表示した。
そこには、悠真たちがこれまで旅してきた世界が並んでいる。
フェリス。
セレニア。
地球A。
地球B。
第三地球。
第四地球。
アースリア。
それぞれの世界で、悠真たちは「新しいつながり」を作ってきた。
セナが言う。
「あなたたちは、世界と世界をつなぐ力を持っています。」
悠真が苦笑する。
「僕たちは普通に旅してただけだよ。」
「それで十分なのです。」
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最後の記録
セナは最後に、一つの古い映像を表示した。
そこには――。
一万年前のアリア。
そしてミナ。
二人がオリジンを離れる直前の姿。
アリアが言う。
「いつか、誰かが続きを作ってくれる。」
映像が止まる。
悠真は静かに画面を見る。
「……僕たちが、その続きなのかな。」
セナが微笑む。
「はい。」
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突然、原初局全体が揺れた。
ゴゴゴゴゴ……!
警報が鳴り響く。
『無記録領域、原初局へ接近!』
セナが立ち上がる。
「始まりました。」
あかりが尋ねる。
「どうすればいい?」
セナは悠真たちを見る。
そして――。
「銀河中の姉妹を、もう一度つないでください。」
悠真は仲間を見る。
「みんなに連絡しよう。」
ミナが通信を開く。
フェリスへ。
セレニアへ。
地球Aへ。
地球Bへ。
第三地球へ。
第四地球へ。
アースリアへ。
次々と通信がつながっていく。
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そして銀河中に、一つのメッセージが送られた。
『あなたの大切な人を、思い出してください。』
『名前を呼んでください。』
『一緒に過ごした時間を、誰かに伝えてください。』
『忘れないでください。』
無数の世界から、返事が届き始める。
『姉妹を覚えています。』
『友達を覚えています。』
『家族を覚えています。』
光が一つ。
また一つ。
銀河中に灯っていく。
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しかし――。
無記録領域の奥から、まだ誰も知らない声が響いた。
「記憶だけでは、私を止められない。」
悠真が振り返る。
「誰だ?」
返事はない。
ただ、巨大な黒い影の中に――。
一つの青い星が浮かんでいた。
セナが息をのむ。
「そんな……。」
「なぜ、あの星が……?」
その青い星は――。
地球だった。




