地球ではない地球
きずなの船は、見知らぬ世界へ向かっていた。
目的地の名前は――
『地球ではない地球』
悠真は航路図を眺めながら首をかしげる。
「惑星の名前は違うのに、住んでいる人たちは『地球』って呼んでるんだよね?」
ミナが頷く。
「はい。」
「しかも、この世界には地球という惑星そのものが存在しません。」
あかりが笑う。
「なんだか不思議な世界だね。」
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青い惑星
やがて、前方に一つの惑星が見えてきた。
青い海。
緑の大陸。
白い雲。
見た目は、まるで地球。
しかし惑星データには――
『惑星名:アースリア』
と表示されている。
悠真が驚く。
「やっぱり地球じゃない。」
ところが通信を開くと、現地の少年が笑顔で言った。
「ようこそ、地球へ!」
悠真が思わず聞き返す。
「ここ、本当に地球なの?」
少年は不思議そうな顔をする。
「もちろん。」
「僕たちの故郷は地球だよ。」
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地球という名前
少年の名前はレン。
レンによると、この世界では「地球」という言葉は、惑星そのものの名前ではない。
『自分たちが暮らす故郷』
という意味なのだという。
「昔の人が、ここを『地球』って呼び始めたんだ。」
「惑星の正式名称はアースリアだけど、みんな地球って呼んでる。」
悠真は笑う。
「なるほど。」
「名前は違っても、意味は同じなんだ。」
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姉妹という言葉がない
ところが、この世界には一つ大きな問題があった。
レンが言う。
「僕たちは、『姉妹』っていう言葉を知りません。」
あかりが驚く。
「家族はいないの?」
「います。」
「友達も?」
「います。」
「じゃあ、どうして姉妹という言葉だけないの?」
レンは少し考える。
「誰かと深くつながることを表す言葉が、ないんです。」
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この世界では、
家族。
友達。
仲間。
という言葉はある。
しかし、
「血のつながりがなくても、家族のように大切に思う関係」
を表す言葉が存在しなかった。
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最初の説明
悠真たちは、これまでの旅について話した。
アリアとミナ。
姉妹レンタル。
リュミエール。
銀河の輪。
そして、三つの地球。
レンは目を輝かせる。
「そんな関係があるんだ……。」
あかりが頷く。
「うん。」
「一緒にいる時間が長いから姉妹になるんじゃなくて。」
「お互いに『大切にしたい』と思ったとき、姉妹になれるんだよ。」
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新しい言葉
レンは少し考えた。
「じゃあ、この世界にもその言葉が必要かもしれない。」
悠真が尋ねる。
「どんな言葉にする?」
レンは笑う。
「それは、みんなで決めたい。」
その日、街の広場にたくさんの人が集まった。
「新しい関係を表す言葉を作ろう!」
子どもも大人も意見を出す。
「仲友?」
「心家族?」
「星友?」
いろいろな言葉が出てくる。
しかし、なかなか決まらない。
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レンの提案
最後にレンが言った。
「言葉を作るだけじゃなくて、実際にその関係を作ってみようよ。」
「どうやって?」
レンは悠真とあかりを見る。
「姉妹レンタルをやってみたい。」
悠真が笑う。
「いいね。」
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最初のペアとして選ばれたのは――。
レンと、街の図書館で働く少女ミナ。
二人は初対面だった。
レンが言う。
「よろしく。」
ミナも笑う。
「こちらこそ。」
最初は少しぎこちなかった。
でも一緒に本を読んだり、街を歩いたり、互いの好きなものを話したりするうちに、少しずつ会話が増えていった。
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言葉より先に
夕方。
二人は丘の上から街を眺めていた。
ミナが言う。
「今日は楽しかった。」
レンも頷く。
「僕も。」
少し沈黙。
そしてレンが言った。
「明日も一緒に来ない?」
ミナが笑った。
「うん。」
悠真は遠くから二人を見ていた。
あかりが言う。
「もう十分なんじゃない?」
「うん。」
「言葉がなくても、関係は始められる。」
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その夜。
街の広場に新しい言葉が発表された。
人々が選んだ言葉は――。
『姉星』
「同じ星に住んでいなくても、心がつながった人。」
それが、この世界での新しい意味になった。
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地球の姉妹
レンは悠真たちに言った。
「今日から、この世界も姉妹の輪に参加します。」
そして、空に巨大な光が浮かぶ。
地球A。
地球B。
第三地球。
第四地球。
そして――アースリア。
五つの世界が一本の光でつながった。
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しかし、悠真の端末に新しい通信が入る。
ミナが画面を見て、驚いた。
「これは……。」
発信元は、これまでのどの世界でもない。
通信には一つの名前だけが表示されている。
『姉妹レンタル本部・原初局』
あかりが首をかしげる。
「原初局?」
悠真が通信を開く。
すると、聞き覚えのある声がした。
「ようやく、ここまで来ましたね。」
悠真が息をのむ。
その声の主は――。
一万年前の映像に現れた、あの謎の人物だった。
「次は、すべての姉妹レンタルの記録を持つ場所へ来てください。」
そして座標が表示される。
そこは――。
銀河の中心。




