姉妹という言葉がない地球
第三地球からの帰り道。
きずなの船のスクリーンには、例の警告が表示されていた。
『第四地球――接続禁止』
そして、
『この地球には、姉妹レンタルという言葉が存在しない。』
悠真は腕を組んだ。
「どうして禁止されてるんだろう?」
ミナが調べる。
「理由は不明です。」
「ただし、第四地球から弱い通信が出ています。」
あかりが驚く。
「通信してるのに、接続は禁止?」
「はい。」
---
四つ目の地球
すると、第四地球から通信が入った。
画面に現れたのは、一人の少年。
「……聞こえますか?」
悠真が答える。
「聞こえるよ。」
少年は少し安心した。
「僕はハヤト。」
「第四地球に住んでいます。」
「どうして接続禁止なの?」
ハヤトは答えにくそうに黙った。
そして――。
「この世界では、『姉妹』という言葉を使ってはいけないんです。」
一同が驚く。
---
禁じられた言葉
ハヤトによると、昔の第四地球では、人々が自由に「家族」や「友達」を作っていた。
しかし、ある大きな事故が起きた。
その後、政府は人々の関係をすべて管理するようになった。
「誰と友達になるか。」
「誰と暮らすか。」
「誰と一緒に行動するか。」
すべて登録制。
そして、登録されていない関係を作ることは禁止された。
その結果――。
『姉妹』という言葉そのものが、使われなくなった。
---
ハヤトの願い
ハヤトは言った。
「でも、僕はおかしいと思う。」
「どうして?」
「誰かと仲良くなることまで、決められなきゃいけないのかな。」
悠真は少し考えた。
「……その気持ちは分かるよ。」
あかりも頷く。
「友達になるかどうかは、自分で決めたいよね。」
---
ハヤトが尋ねる。
「あなたたちの世界では、どうしてる?」
悠真は答えた。
「僕たちも、最初からうまくいってたわけじゃない。」
「でも、いろんな人と出会って、話して、一緒に旅して――。」
「少しずつ、自分たちで関係を作れるようになった。」
---
第四地球へ
ハヤトは小さな声で言った。
「……会ってみたい。」
「直接?」
「うん。」
しかし第四地球の境界には、強力な防衛システムがある。
ミナが調べる。
「普通に入るのは難しいです。」
悠真が笑う。
「じゃあ、普通じゃない方法で行こう。」
---
きずなの船は、第四地球の通信に合わせて航路を変更。
しかし――。
警告音。
『未登録船を確認。』
『侵入を許可しません。』
巨大な防衛衛星が船の前に現れた。
あかりが緊張する。
「どうする?」
悠真は通信を開く。
「戦う必要はないよ。」
「話そう。」
---
「話す」だけ
悠真は第四地球の管制センターへ通信する。
「僕たちは敵じゃありません。」
「ただ、あなたたちの世界の人と話したいんです。」
管制側から返事。
『許可できません。』
「どうして?」
『規則だからです。』
悠真は尋ねた。
「その規則を決めたのは誰?」
沈黙。
「そして、その規則を変えることはできますか?」
さらに沈黙。
---
やがて――。
『……分かりません。』
その返事を聞いた悠真は笑った。
「じゃあ、一緒に考えてみよう。」
---
最初の一歩
しばらくして、防衛衛星の一つが停止した。
『一時的な通信を許可します。』
第四地球の人々が、初めて外の世界を見る。
地球A。
地球B。
第三地球。
そして、銀河中の星々。
ハヤトが言う。
「みんな、こんなに違うんだ……。」
悠真が答える。
「うん。」
「でも、違うから面白い。」
---
そして、第四地球の一人の女性が初めて口にした。
「……姉妹。」
その言葉を聞いた人々が振り返る。
女性は少し震えながら言った。
「この言葉って、悪い言葉じゃないんですね。」
あかりが笑う。
「もちろん。」
---
新しい言葉
その日、第四地球では一つの小さな変化が起きた。
街の掲示板から、
『使用禁止語:姉妹』
という表示が消えた。
代わりに、新しい文章が表示される。
『人と人との関係は、自分たちで選べます。』
ハヤトはその文字を見て笑った。
---
悠真たちは、第四地球を離れる。
出発前、ハヤトが尋ねた。
「また来てくれる?」
悠真は答えた。
「もちろん。」
「次は、もっと自由に話せるようになった世界を見せてよ。」
ハヤトは笑った。
「約束。」
---
五つ目の地球
船に戻ると、ミナが新しい情報を表示していた。
悠真が聞く。
「今度は何?」
ミナが苦笑する。
「……また地球です。」
あかりが笑う。
「やっぱり!」
しかし、今回は少し違った。
画面には、
『第五地球』
ではなく――。
『地球ではない地球』
と表示されている。
悠真が首をかしげる。
「どういう意味?」
ミナが答える。
「この世界には、地球という惑星は存在しません。」
「でも、住民たちは自分たちの故郷を――。」
画面に、その名前が表示される。
『地球』
悠真たちは驚く。
惑星の名前は違う。
歴史も違う。
それなのに、住民たちは自分たちの故郷を「地球」と呼んでいる。
そして、その世界から届いた通信。
『私たちにも、姉妹という言葉を教えてください。』
悠真が笑う。
「今度は、地球じゃない地球か。」
あかりが頷く。
「面白そう!」
きずなの船は、新しい世界へ向かって進み始めた。




