運命の選択
翌日、午後六時。
悠真は指定された場所へ向かった。
そこは街外れにある、白い洋館だった。
入口には、
「姉妹レンタル 本部」
と書かれた看板が掲げられている。
扉を開くと、さくら、ひまり、美咲、そして黒いスーツ姿の職員たちが待っていた。
一人の女性が静かに話し始める。
「春川悠真さん、お待ちしておりました。」
「これより、契約の最終説明を行います。」
悠真は緊張した表情でうなずく。
「まず、お伝えしなければならないことがあります。」
「『姉妹レンタル』は、孤独な人や家族を失った人に、新しい絆を見つけてもらうための制度です。」
「しかし、それは単なる演技ではありません。」
「契約期間中に生まれた気持ちは、本物として扱われます。」
悠真は静かに聞いていた。
女性はさらに続ける。
「そして、あなたには一つだけ選択肢があります。」
部屋が静まり返る。
「契約を終了し、全員が元の生活へ戻る。」
「あるいは──」
女性は、さくらとひまりを見つめた。
「どちらか一人と、本当の家族ではなく、一人の女性として新しい人生を歩む道を選ぶこと。」
美咲も驚いて目を見開く。
「そんな……。」
女性は最後に告げた。
「なお、選ばれなかった契約者の記憶は消去されません。」
「先日の通知は、あなた方が自分の本当の気持ちと向き合えるかを確かめるための試験でした。」
「えっ!?」
さくらもひまりも思わず声を上げた。
「記憶は……消えないの?」
「はい。あなた方は最後まで互いを思いやる行動を選びました。そのため、試験は合格です。」
二人はほっと胸をなで下ろした。
悠真はゆっくりと立ち上がる。
「俺は……。」
三人が息をのむ。
「答えを出す前に、一つだけお願いがあります。」
「みんなと話す時間をください。」
女性は静かにうなずいた。
「承知しました。」
こうして、悠真は最後の夜を、さくら、ひまり、美咲と過ごすことになった。
それぞれの胸に秘めた想いを伝えるために──。




