歴史、ふりだしに戻る~たどり着いた先は縄文時代だった~いっそ、ゼロからまた歴史を創り始めようか~
時間旅行を気ままに楽しむ。
ここで、警報が鳴る。赤いランプが点滅する。
異状など生じないはずだったのに、なぜ?
「時空乱気流だ!」
時空乱気流とは、亜空間で時折発生する、乱気流だという。巻き込まれれば、ひとたまりもないという。
ドアが開け放たれた。窓ガラスにも、ひびが入る。そして、窓ガラスが次々と割れていく。内部に猛烈な風が吹き込む。
次の瞬間、全員、亜空間に投げ出される。
「うわあああーっ!」
亜空間に投げ出されたら、どこへ向かうのか?
それから、いったいどれだけの時間がたったのか?いったいどこをどうやって、さまよってきて、ここまで飛ばされてきたのか、記憶が無い。
何も感覚が無くなってきた。
……。
そして、ようやく気がついた。
「ここはどこなんだ…?」
気がつくとそこは、深い森の中だった。
場所を調べようとする。スマホは手元にあった。
……。
今、どこにいるのか、わからない。
スマホの地図機能を使おうとしたが、どうやらここは、地図に表示されない場所のようだ。
「誰かいるー?」
誰もいない。深い森の中だ。
他の人間は誰もいない。
どうやら、完全に俺一人になってしまったようだ。
ここは死の国なのか?と思った。
人間どころか、獣の鳴き声すらしない。
あてもなくさまよい歩いた。
ここで俺は、知らぬ間にあるスキルを身につけていた。
昔の時代の人間たちの言葉が理解できる。
昔の時代の、どんな料理もおいしく食べられるという。
逆に、俺が今まで人生を歩んできて、身につけてきたスキルとか、人生経験とかは、全く役に立たない、どうやらここは、そういう時代だということを、あらためて思い知らされることになる。
ようやく、開けた場所に出た。
いわゆる、縦穴式住居という形の家がある。
どうやらここは、縄文時代のようだ。
そして、このあたりは、現在の大森貝塚のあたりのようだ。
俺らの今までの人生なんか伝えたところで、誰も興味も持たない、全く何の役にも立たないというなら、
いっそ、ゼロからまた歴史を創り始めようか。
そこに現れたのは、山野桃だった。
「もしかして、大森さん?」
俺は彼女に、事のいきさつを説明した。
「えーーーっ!縄文時代ーーー!?」
彼女も驚いた様子だった。
「とっ、とにかく、こんなことになったのは、あんたたちのせいだからね!
私たちを、この集まりに連れ込んで、タイムマシンだっけ?あれに乗せて、その挙げ句に、事故ったから、こんなことになったのよ!
大森さん!あなた、責任持って、私を現代に連れ帰ってよ!」
とはいっても、連絡の手段も無い。
途方に暮れていると、集落の方から人影が見える。どうやら、父親、母親、男の子、女の子のようだ。
父親「おや、見かけない顔だね。それに、変わった服装だね。
もし良ければ、一晩泊まっていきませんか?」
他にどうすることもできないので、一晩泊めてもらうことにした。
ドラマとか映画とかの作り物ではなくて、正真正銘、本物の縄文人の家族に出会い、本物の縦穴式住居で、一晩泊めてもらうことになった。




