表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空想物語の中の冷血な騎士様は、ザマァされる私の夫なんですが、なぜか設定崩壊しています  作者: ミカン♬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/13

7 ケイトの疑問/ケイト

 私はケイト。オルシアと同じ十八歳。


 彼女が我が家に来て、もう三週間。


 あの不思議な声は──気にしないって決めた。


『きっと高い霊力の弊害なのよ。家族にしか聞こえないという事は、オルシアが私達を信頼している証拠よ』


 ……なんて、母もそう言ってるし。

 それに、オルシア自身は大人しくて控えめで、使用人たちからの評判もいい。


 ……まあ、あの辛辣な声とのギャップには、たまに引くけど。


 とにかく、シビルについて出回っている悪い噂は、オルシアに限っては当てはまらない。



 兄が言うには。


『物語の中にいる。彼女はそう思い込んでいるんだ』

『俺が結婚式をボイコットしたからだ』


 確かにあれは酷かったわね。


『俺のせいだ……深く傷ついたせいで、この先々の不幸を空想して嘆いているんだ』


 ……本当にそうかしら?

 だってオルシアの心の声、けっこう楽しそうだけど。


『それで、お兄様はどうするつもり?』


『あのような状態で離婚は言い出せない。正常に戻らなければ、神殿には戻せない』


 つまり、精神が異常だって思っているのね。


『どうやって、正常に戻すつもりなの?』


『分からない。ただ、無視は止める。オルシアとちゃんと向き合おうと思う』


 そうね、無視は絶対に良くないわ。



 お兄様の離婚の意思は、大きく揺れている。


 正直、私はレティーと結ばれて欲しいのだけど。



 ──こんな話、親友のレティーにも言えない。


 今日はそのレティーと一緒に、騎士団の食事の手伝い。


 厨房のおばさんたちは、レティーに同情している。

 ディーンをずっと好きなのは、誰でも知ってること。


 でも兄が好きなのは、騎士団長のシャーロッテ第一王女殿下。


 兄が……王女殿下に恋してる間は、まだチャンスがあると思ってたのに。

 人生って、本当に一瞬で変わる。


 ジャガイモの皮をむいていると、レティーがぽつり。


「ディーンとオルシアはもう一緒の部屋なの?」


 ……それ、かなり踏み込んだ質問よね。


「ノーコメントよ」


 すると、少し不満そうに続ける。


「こんなことなら、私もシビルになっておけばよかったわ」 


 胸がざわついた。


 ──私を誘導してる。



 **レティーの方が兄に相応しい。

 ディーンの花嫁はレティーだったはず。**


 ……前の私なら、そう言ってた。


 彼女の言葉って、ときどき私の言葉にすり替わる。

「公女が言っていた」って形で、噂が広がるの。


 だから──今日は言わない。


 私はフーヴァル公爵家の長女。

 言葉には責任がある。



「シビルになれば、家とは縁を切られるのよ? 修業も厳しいし、私は無理だわ」


 そう言って、話題を切る。


 レティーは黙り込んだ。

 機嫌が悪いと、彼女は無口になる。



 ……オルシアの心の声は、レティーを警戒してる。


 最初は反発した。

 でも思い返せば、心当たりはある。


 今日だってそう。


 ──それでも。

 レティーが親友なのは、変わらない。



 黙ったまま厨房で作業していると、カタカタと音がして床が揺れた。


「地震かしら?」


「怖いわね」


 そう言い合っていると、すぐに報せが飛び込んできた。



 ――大規模ながけ崩れが発生。



 場がざわつく中、レティーがぽつりと呟く。


「今までこんなこと無かったのに、おかしいと思わない?」

「何が?」


「オルシアが来た途端、災害が発生なんて。まるで天罰みたい」

「偶然よきっと」


 そう返したけど――嫌な空気が流れた。


 次の瞬間、調理のおばさん達が一斉に騒ぎ出す。


「レティーの言う通りだわよ。なんのためのシビルだか、分かりゃしないわ」

「そうよ、たくさんの寄付を払って貰い受けたシビルなのに」


 ……まずい。


 オルシアの立場、最悪じゃない!?


 おばさん達は止まらない。


「レティーがお祈りしていたら、避けられたかもしれないわね」

「いらないシビルが来たってことね」

「ディーンに相応しいのもレティーよ!」


 嘘でしょう?

 オルシアの心の声が、そのまま現実になってる。


「私、神殿に行ってくるわ。これ以上災害が起こらないように、お祈りしてくるわ!」

 レティーはそう言って、さっさと厨房を出ていった。


 私も、オルシアのところに行かなきゃ!




 慌てて家に戻ると、ちょうど父の部下が、がけ崩れの報告をしているところだった。


 思わず、お母様と顔を見合わせる。


 だってオルシアは――



(大変だわ。どうしよう、どうしよう!)


(シナリオ変更はダメだったの? 神様の意地悪!)


(水龍は来てくれるよね? 来なかったら? いや、来るよね?)


(あああ、私のバカ! バカバカ!)



 ……完全にパニック。


 もう、どうなってるのよ!



読んでいただいて、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ