私と踊ってくれますか?
疲労困憊の体を無理やり駆動させて、はしゃぐスピカの頭をぽんぽんと叩いた。喜びがアドレナリンのように全身を巡っている内に、この世界から脱出したいのである。今なら戦闘の余波でシャボン玉もあちこちに散らばっているからな。
「さぁ、行こう……この先を直進すれば多分出口だ」
「うん!」
疲れた俺に変わって、スピカが俺の手を引いて前に進む。予想通り激しすぎる戦闘のお陰で殆どシャボン玉が見当たらない。あのドラゴンは散々に暴れてくれたからな。お陰で動くのも億劫だ。それでも心だけは不思議なほど軽やかで、何とか足が動いた。
来るときに比べてすかすかになった極彩色の道を、スピカに手を引かれながら進む。スピカは昂った感情も相まって俺の腕を引きながら走る……事はなく、時折俺の方を覗き見ながら歩幅を合わせてくれた。
「すまないな……本当はいまにも走りたい気分だろうに……」
「王子様は頑張ったんだし、謝らなくてもいいんだよ。スピカは速くここを出たいけど……それよりも、王子様と手を繋いでたいんだっ!」
手の抜かれたこの世界で、唯一太陽と見間違うような笑みを浮かべたスピカに、一瞬ドキッとした。が、すぐに頭を振って掻き消す。落ち着け、スピカの内面はともかく体は完全に子供の物だ。それに恋愛感情を抱くのはかなりズレているはず……。
自分の中の常識を取り戻そうとすると、心の奥底からもう一人の自分がこう言った。
『精神年齢は俺より年上だからセーフじゃないか?』
いや、アウトだろ。……アウトだよな?先の見えない問いを振り払って、スピカの後を続いた。
前を歩くスピカの足取りは軽く、外の世界への期待が透けて見えた。彼女にとってもう何年か分からないほど遠い世界……そこに、漸く帰ってこれるのだ。こんな無茶苦茶な世界から飛び出して、穏やかな夜空を見上げられる。
試しに、スピカへ外に出たら何がしたいか聞いてみた。
「スピカ」
「うん?」
「外に出たらまず何がしたい?」
「うーん……お空の皆に会いたいなぁ……あと――」
長い間別れていたアルデバラン率いる黄道十二星座との再開か……ならまずは外に出たら墓地へ向かわなければな。そもそも、外に出たら街中じゃないか?どうにか町から飛び出さなきゃ。そんなことを考えた俺の耳に、スピカが聞き逃せない言葉を放り込んだ。
「王子様とスピカの……け、結婚式……かなぁ」
「……!?」
声を押さえるのに苦労した。ここで変な声でも上げてみれば、間違いなく空気が最悪になる。結婚式……!?そういえば俺が王子で、スピカが姫な訳だが……。厭世だの別世界へのゲートだの色々が重なって完全に忘れていた。
目の前のスピカは耳まで赤くしながらキャー、なんて言っている。
ヤバい。
どうすればいい?このままでは俺は意中のロードを置いて天界へと連れ去られてライチという名前の星になってしまう。人は死んだら星になるというが、死ぬ前から星になるなんて生き仏みたいな真似は御免だ。俺にはまだやらなければいけないことが多すぎる。
厭世を救わなければいけないし、『variant rhetoric』を見つけなくてはいけない。そして最後にはきちんとロードを射止めなければならないのだ。この思いをどうにか伝えねばならない。
空の星になってしまったら、それは叶わないだろう。
……では、正直に言えばいいだろうとまたもや心の中の俺がため息混じりに言う。いや、ハードルが高過ぎるだろ。どうするんだよ、散々『俺が連れ出してやる』なんて王子様みたいなことを言い張って、最後にはさようならってか?無理にも程がある。
だらだらと架空の脂汗が額を伝う感触がした。無言の俺に、スピカが心配そうに声をかけてくる。
「王子様……?疲れてるの?」
「ん?あ、あぁ……うん。疲れてて、あんまり頭が回らなくてさ」
「休むー?スピカなら大丈夫だよ?」
「いや、歩くだけならなんとかなるし、俺も速く外の空気を吸いたい」
「そっかー」
俺を気遣って止まってくれたスピカに遠慮は要らないと言った。
……本当に、どうしよう。断る……しかないのだが、断るにも断れないだろう。スピカにとって俺はたった一人の王子様なのだ。遠くはるばる自分を見つけてくれて、手をとって連れ出して……ああ、きっと俺はスピカに好意を持たれている。
王子様と呼ばれ、結婚したいなんて言われているのだ。これで好意が無いと思うなら、そいつは確実に対人関係に問題をありったけ抱えているだろう。
そんなことは端に置いておき……どう断ればいい?今のは実質プロポーズだぞ?告白しようと色々思い悩んでいたら、逆にプロポーズされてしまった。どういうことだ。訳が分からないがこれが現状だ。
ごめんなさい、俺にはもう心に決めた人が居るので……とかか?
いやいやいや……きつすぎる。それを言ったときのスピカの心は容易に想像できる。俺がロードに告白した後に同じことを言われたらどんな気分になるか……嫌だ。想像もしたくない。
それをスピカに向かって言うのだ。おそらく彼女のとっての初恋を、俺は砕かねばならない。
…………。
無意識に鼓動が速くなる。全身に嫌な血液が流れはじめて、悪寒すら感じ始めた。落ち着けと体に命令する余裕もない。
加速し、白熱する脳内会議に、ひとつの選択肢……いや、俺の中で産み出された『逃げ道』が提示された。
『もういっそ、二人を同時に選べば――』
却下だ。
あり得ない。それだけはあってはいけない。それは両者に不誠実だ。不誠実で、優柔不断で、最低で、甘えだ。さらに言えば俺には二人を同時に選べるような器量や度量は無いのだ。どれだけ強くなろうと、俺の根っこは小市民。一夫多妻など選べばしない。
考えてみる。ロードに『あなたが好きだけど同じくらい好きな人が居るから二人と付き合う』と言われたら。
……悪いが、断る。そんなストックされて遊ばれているようなことをされるくらいだったらきっぱりと諦めてやる。本当の愛はきっと、一番だけに捧げられる物だと思うから。もしかしたら違うのかもしれないけれど、俺の注げる愛は一人分だけだ。ならば、二人なんて選べない。
……だから、きっぱりと決めるしかないのだ。
――スピカに、さようならを告げる覚悟を。
告白より先に告白を断ることを体験するとは露ほどにも思わなかった。唐突に現れた最大の関門に、全身が緊張してしまった。
やはりおかしいであろう俺の様子に、スピカがもう一度口を開こうとして……足を止める。どうした、と聞く前に、彼女が見つめている俺の後方へと振り返った。
「…………え?いや、待ってくれよ……流石に……」
「あ、あぁ……」
「間違いだろ……だ、だって確かにとどめは……」
「大きくて、怖いドラゴンさんだ」
振り返った先に居たのは――死したはずの体を引きずって、こちらへ猛然と詰め寄ってくる、虹色の竜の姿であった。その体は完全にぼろぼろで、一歩前に進むだけで手足からシャボン玉がこぼれ、眼孔から強酸を涙のように溢していた。
けれどもその歩みは機械のように淀みなく、ひたすらに俺達を食い止めようと進み続けていた。
その姿はまさしく――不死身。
凄まじい執念と怒りの入り交じった咆哮が、ズタボロの体の奥底から轟く。
――ギァァァアア゛ア゛ァ゛!!
ひたすらに進むドラゴンは、進路先にシャボン玉があろうとお構いなしで、それすら胴体で弾き飛ばして前に進んでいる。あまりにもおぞましいその光景に暫く固まって……叫んだ。
「走れッ!!」
その声にハッとしたスピカが、俺に鋭く言った。
「王子様、スピカの手を離さないでね!」
「勿論離すつもりは無いが、今はそれよりも――」
「行くよっ!!」
「……えっ!?」
このタイミングで映画みたいな台詞を言ってるんじゃないぞ、と思ったのも束の間、俺の右手が強く後ろに引かれ……そして、俺の体が宙に浮いた。
右手を支点に、両足が地面から完全に離れているのだ。途端に浮遊感と剥き出しの向かい風が俺の体を煽り、慌てて左手で盾をしっかりと掴み直した。
「ちょっ!?空!?」
「スピカは星だもん。飛べるよ。大丈夫、すぐに王子様も飛べるようになるよ」
アルデバランら星たちは空からやって来た。勿論空の上から地面に飛び降りて。元々空の上に居たのだから、勿論『浮遊』とか『飛行』みたいなスキルを持っているに違いない。だが、アルデバランらと全く容姿の異なるスピカが飛べるのは考えの外だった。よく考えれば星の姫が空を飛べませんなんてあり得るわけが無いのだが、全く考えていなかったのだ。
「うぉっ!?浮遊感ヤバい!絶対落ちる!」
「しっかり掴まってて!王子様!」
「待て待て!右腕一本で耐えろと!?」
「全速力で行かないとすぐに追い付かれちゃうから、飛ばすね!」
それはわかるけども!と叫ぼうとして、舌を噛まないように口を閉じた。スピカに着いていく俺に魔法的な保護などあるわけがなく、凄まじい風圧とスピードに振り落とされないように必死だった。地面が目を疑う速度で流れている……が、確かに落ち着いて感じればメラルテンバルよりは遅い。空の上でスピードを必要とすることはあまり無かったのだろう。
メラルテンバルだったら即座に振り落とされているに違いないだろう。上に乗っていても落ちないか心配なくらいなのだ。風に揉まれながら、なんとか後ろを振り返ると……信じられないことだが、ドラゴンは散々に体を崩しながら、このスピードに着いてきている。なんだよあのスピード……スーパーカーも真っ青だぞ?徒歩だったら確実に轢き殺されていた。
もしくは翼があったら、間違いなく俺達に追い付いていただろう。だが、奴の翼は片方が完全に溶けている。そもそもシャボン玉の翼で飛べるのか怪しいが、スピカが『いつも追い付かれちゃう』と言うからには飛べるのだろう。
死して尚、ひたすらに標的を狙い続ける。敵ながら天晴れな執念だ。
俺の手を引きながら全速力で空を飛ぶスピカが、大声で俺に声を掛けた。
「王子様!」
「なんだ!?」
「スピカの下着、見ちゃダメだよ!」
「この状況じゃ見ねえよ!!」
何言ってるんだこいつ。乙女だろうけども、いまは流石に止めてくれ。確かに、俺の視界にはパタパタと激しくはためくワンピースが見えているが……いや、見ねえよ!
「とにかく飛ばしてくれ!あいつ普通に追い付きそうだぞ!?」
「嘘っ!?うぅ、久し振りだから上手く飛べないよ!」
「そんなこと言われても……取り敢えず『ダークボール』!」
スピカがうーっ!と叫びながらなんとかスピードをあげようと試みているが、ドラゴンはどこかのアニメ映画に出てくる神のようなスピードで近づいてくる。足止めになるかと思ってダークボールをぶちこんでみたが、駄目だ。このくらいじゃ欠片ほども足を止める理由になり得ない。
「ギァァァアア!!」
「うるせぇ!『シャドウスパーク』!……マジかよ、ノーダメージ?」
「うーーっ!!駄目だよ!追い付かれちゃう!」
「どうにかあいつの足を止めなきゃ……といっても止められる物なんてねぇ!」
遂にドラゴンが俺達に追い付いた。攻撃されてしまう。けれども、絶望するだけではない。
「王子様っ!前を見て!」
「前!?……うぉぉ!多分あれが出口だ!!」
急いで前を向くと、遠くに一面の闇が見えていた。そして、俺達が向かう丁度直線上に、スピカの部屋と真逆の白い扉が見える。間違いなくあれが出口だ。あそこにたどり着ければ――
「ギァア!!」
「っ!?スピカ!!右に避けろっ!」
「分かったよ!」
ドラゴンが崩れかけの腕を振り上げて、大きく振り下ろした。スピカは進路を右に逸らして、なんとか回避を試みる。ズシャァァ!と凄まじい音がして、俺の左隣の地面が大きく弾けた。
「っぶな!!」
「王子様!スピカは後ろが見えないから、ドラゴンさんの攻撃が来たら教えて!」
そうか、全速力のスピカは後ろが見えないのか。俺が声を掛けて上手く回避する……分かった。ドラゴンの左腕が荒々しく振り上げられた。
「左!」
「うーーっ!」
「また左!」
二連続で地面が吹き飛ぶ。腕から跳ねた強酸が腰に掛かって嫌な音を立てた。ドラゴンは腕での攻撃を諦めて、何かを溜める仕草をした。
「嘘だろ!?ブレス来るぞ!」
「教えて!王子様!!」
走りながら放たれたドラゴンのブレスは回避を予測して左側!
「右っ!」
「分かったっ!」
続けて二回のブレスが放たれる。そのどちらをもなんとか回避したが、その直後にスピカの体がぐらついた。慌ててスピカの顔を見ると、彼女は額から汗を流している。やはり、久し振りらしき飛行ではあまり長く飛べないか……これだけアクロバティックに動いているとなると、尚更。加えて、俺という大きな重りがあるのだ。
扉はぐんと近いが、まだもう少し距離がある。
「斜め右上!」
「うーーっ!!」
スピカに指示を出して、考える。扉までの距離はあと三十秒程度。そこまで行ければ俺たちの勝ちだ。だが、スピカの様子を見ればそこまで行けるかは五分五分……。だんだんと俺たちの高度は下がっており、このままではドラゴンの噛みつき一つで死んでしまう。ドラゴンもドラゴンで最早ドラゴンの体を成していなかったが、一本の足と二本の腕でひたすらに地面を這っていた。
時間を稼がなくてはならない。けれども、俺の魔法程度では全く時間は稼げない。
どうすればいい!?
考えろ!考えろ!考えろ!
それしか俺には出来ない。またもやドラゴンの攻撃が来て、それをほんの寸前で回避した。鎧の右足に微かに攻撃が掠れてヒヤッとする。が、スピカを見れば最早限界に近いのだ。もっと速くなんて言えない。
ああ、どうすればいいんだ!何かもっと大きな火力を……何か、爆発の一つでも有れば――
「それだっ!!」
爆発だ!こいつを吹っ飛ばすぐらいの大爆発を起こすんだ!しかしそのためには盾を持っていない右手が必要だな……。
計算しろ。大丈夫。上手く爆発が起きれば、この軌道なら規模にもよるが扉に滑り込める。盛大な爆発を起こすために、スピカへ大声を出した。
「スピカッ!俺の手を放せっ!」
「そ、そんな!ダメだよ王子様!そんなことをしたら、王子様が死んじゃう!」
「良いから離してくれっ!俺を信じろ!スピカ!!」
「王子様……」
命の危機が完全に差し迫った状況で、俺たちは見つめあった。俺は荒々しくスピカに笑いかけ、スピカは惚けたような視線で俺の笑顔を見つめると、小さく頷いて言った。
「分かったよ。王子様を――信じるっ!」
スピカの手が離された。俺の体が空に浮いて、自由落下を始める。世界が驚くほど鮮明になって、遅くなって……俺はゆっくりと後ろを振り返った。
――もしかしたら、規模によっては死ぬかもな。
一瞬、そんな考えが浮かんだ。俺から手を離したスピカは、すぐさま俺から離れていく。正反対に、目の前のドラゴンは大口を開けて俺へ迫っていた。
お前だけは殺す。お前を殺す。絶対に。
ぐちゃぐちゃの瞳に、牙に殺意が迸っていた。大きく開いた口からは穴だらけの体内が見える。最早こいつは助からないだろう。時間を経て死ぬのみだ。
そんなドラゴンに、遅い世界で強く笑いかけた。
それと同時に俺は空いた右手に二つのものを握りしめた。アイテムボックスから取り出した――HPポーションとMPポーションだ。
『ポーション混ぜたら爆発した』
ああ、そうだ。このゲームではきちんとしたスキルを持っていない奴がポーションを混ぜると爆発する。その爆発は、宿屋の一室とそのとなりの部屋までぶっ飛ばす位の大きな物だ。
二本の試験管を握りしめた腕を、ドラゴンに突きつけた。そしてニヤリとした笑みのまま、もう二度と会わないつもりでこう言った。
「生憎姫様を置いてドラゴンと踊る趣味は無いんだ。お前とは――踊らない」
手始めに右腕を食い千切ろうとしたドラゴンの目の前で、二本の試験管を握りつぶした。バリィン、とガラスの割れる音がして――
――その瞬間、世界が白に染まった。
何も聞こえない。何も見えない。そんな場所にいて、ふわりと空を舞っている感覚がする。そんな世界に、誰かの背中が見えた。それは振り返らずこう言う。
『待ってるよ』
その瞬間、世界が鮮明に色を取り戻した。破裂する試験管、吹き飛ぶ俺とドラゴン。右腕の鎧は見事にひしゃげ、灰色の本体すら弾け飛んでいた。凄まじい閃光と爆風、爆音が俺を中心に放たれ、ドラゴンと俺が吹っ飛ばされる。ぐるりと視界は反転し、体は不安定な回転をしている。
遅れてスピカの甲高い叫び声が聞こえた。爆風に飲まれたのだろう。
――まだだ。
俺達はまだここから出ていない。スピカは檻から飛び出していない。俺は約束したのだ。確かに約束した。約束は守らなくてはいけない。
俺は君を、ここから連れ出してみせる。
ぐるぐると回る視界の隅で、白い扉と白い人影が見えた。それは白いツインテールをしていて、赤と青のオッドアイを爆発に細めている――スピカだ。
それに向かって、ひしゃげた右腕の鎧から灰色の右手を伸ばす。吹き飛んだはずのそれはすぐさま巻き戻すように再生していた。ああ、そうだ。再生力には自信がある。灰色のそれらは不定形な腕の形をとった。
不定形で、あやふやで、とても頼りない。けれどもこの腕は、沢山の誰かを守ってきた。俺自身を救ってくれた。その腕を、今度は誰かを救うために……精一杯伸ばして――叫んだ。
「スピカッ!!俺の手を掴めッ!!」
「王子様っ!!」
廻る世界で、虹色のシャボン玉の破片と爆炎がまぶしい世界で、スピカの二色の瞳が確かに俺を見つめた。二つの瞳には間違いなく星明かりが灯っていて、七色に輝く破片の美しさを全て集めても足りないくらい綺麗だった。
白魚のような綺麗な手が俺に向けて伸ばされて――そして、俺の手を掴んだ。瞬間、スピカの瞳から一滴の涙が溢れて……。
俺の体が強く何かにぶつかり、押し当てるようにしてそれを開いた。無理やりな軌道で、力づくで、荒々しく、丁寧に――ああ、そうだ。それはまるで本当の王子のように、俺はスピカの手を引いた。白いワンピースがはためき、泣き笑いの星の姫が俺の胸元に飛び込んできて――世界がもう一度白く染まった。
【貴方はスピカ・レトリックを連れ出した】
【おめでとう】
【そして、さようなら】
【願わくは、再び相見えぬ事を】
【君たちの行く先に、祝福を】




