表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十二年地下牢に捨てられた俺は《誓約簒奪》に目覚めた――王国を支えた裏切り者たちへ、死より長い贖罪を  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/60

印刷工の帰還

オルドの古い印刷工房は、十二年前から扉を閉ざしたままだった。

 看板は割れ、窓には板が打たれている。だが地下の活字庫は無事で、弟子だった男が税だけを払い続けていた。

「親方が戻るかもしれないと思って」

 今は四十歳になった元弟子が、錆びた鍵を差し出す。オルドは礼を言わず、まず印刷機の油を確認した。長い年月を感情だけで埋めず、動かすために必要な仕事を始める。

 ここを新しい拠点にはしない。印刷した紙は即日別の場所へ運び、工房へ証拠を残さない。

 最初に刷るのは告発文ではなく、二十七人の照会票だった。

《次の名を知る者は、処罰を恐れず所在のみ知らせてほしい》

 犯罪や鉱山の名を出さず、家族を探す文章にする。王都のパン屋、洗濯場、施療所へ一枚ずつ置く。

 リオルの名も復讐相手の名も印刷しない。紙を読んだ者が危険人物として捕らえられないためだ。

 印刷機が十二年ぶりに音を立てる。

 オルドは一枚目のずれを確認し、二枚目から圧を調整した。百枚を急いで刷るより、読める十枚を確実に届ける。

 消された名前が、活字となって王都の生活へ戻り始めた。

(次話へ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ