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十二年地下牢に捨てられた俺は《誓約簒奪》に目覚めた――王国を支えた裏切り者たちへ、死より長い贖罪を  作者: 竜太郎


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六台目の荷車

明け方、王立施療院から六台の荷車が出た。

 先頭五台には薬草の匂いが漂い、荷台の沈みも均等だった。最後の一台だけ、空箱を積んでいるのに車輪が深く石畳へ食い込んでいる。

 リオルとガレスは市場へ向かう職人に扮し、二本隣の通りを歩いた。ノルは追わない。薬房を空にすれば監視に気づかれる。

 荷車は北門へ向かわず、誓約院の古文書庫へ入った。

 外から空箱を運び込み、二刻後には封印済みの箱として出てくる。車軸の中に隠した紙を、正規の荷へ混ぜる仕組みだった。

 門番は箱数だけを確認し、重さを量らない。十二年続いた手順は、誰にも疑われない日常になっている。

 リオルは侵入せず、車輪へ付いた蝋片を拾った。白ではなく灰色。古文書庫の内部で、王家用の白蝋へ鉱山の石蝋を混ぜている証拠になる。

 荷車が再び動き出す。今度は北門へ向かった。

 そのまま追えば、門外の検問で身分を調べられる。ガレスは衛兵の立場を使えるが、リオルは死亡者だ。

 そこでロッカが別の荷車で横へ並び、積荷の覆いを上げた。

「死者一人分なら、運賃は後払いでいい」

 リオルは荷の陰へ入り、六台目の後を追った。

(次話へ)

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