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最初の十二人
死者名簿は二日で十二人になった。
地下牢の食器、給餌帳簿、施療院の薬記録、家族の証言。四つの資料を照合し、確実な者だけを記す。姓が分からない者は空欄のまま残した。
オルドは一頁ごとに同じ番号を振り、三部へ複写した。改竄されれば、どこが変えられたか分かる仕組みだ。
ニコの熱も下がり始めた。まだ歩けないが、薄い粥を自分で飲み、父の名を話せるようになった。
「父さんは逃げてない。鉱山で落盤に遭ったんだ」
借財契約の前提が崩れる証言だった。死亡記録が見つかれば、ニコを拘束する理由は完全になくなる。
そのとき、共同井戸へ隠した帳簿の一部が消えたとの知らせが届いた。石蓋は壊されず、隠し場所を知る者だけが抜き取っている。
こちら側の誰かが情報を漏らした可能性がある。
ガレス、ノル、ミア、オルド、エマ。全員を疑えば、集まりはすぐに崩れる。だからリオルは人ではなく、情報の渡し方を調べることにした。
三部の写しには、意図的に異なる小さな誤記を一つずつ入れてある。奪われた写しの誤記を次の命令書で見つければ、漏れた経路が分かる。
名簿の十二人は、死者でありながら、敵の手を初めてこちらへ引く証人となった。
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