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余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第十四章

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83/83

83.早朝

 その日は、特別寝苦しい夜だった。

 目を瞑った向こうの世界から、窓に打ち付ける程の雨音が聞こえた気がした。昨晩、寝る直前、スマホでは雨雲が近づいていると通知が入っていた気がする。


「あつ……」


 そんな昨晩の雨のせいか、エアコンをつけたままで寝たはずなのに、室内はムシムシとした暑さで、いつもより早い時間に俺は目を覚ます結果となった。

 体を起こしつつ、俺は首筋の不快な汗を数度拭った。


「……あれ」


 ……寝苦しくて思わず目を覚ましてしまったが、気付いたらエアコンが消えていたようだ。

 間違えてタイマー設定をして眠ってしまったのだろうか?

 それとも、エアコンが壊れてしまったか。


 ……こんなに暑い日が続くのに、もしエアコンが壊れたとしたら、困るなんて話では済まないぞ?


 恐る恐る、俺はスマホのアプリを起動してエアコンを起動させた。

 少し前から、俺の家ではスマート家電を導入している。スマート家電とはインターネットに接続出来る家電のことで、スマホ一つで家電のオンオフ、それも遠隔での操作が可能になる、とても便利な代物である。

 最近ではスマート家電ハブという複数の家電を一元管理出来る機材もあり、我が家が導入しているのはまさしくそれである。


 というわけで、スマホを操作してエアコンを起動させた結果は……無事、エアコンから冷風が流れ出した。


 どうやら壊れたようではないようで、俺はホッと胸を撫でおろした。


「あ、あっくん。おはよう」


 そんな丁度良いタイミングで自室の扉が開き、現れたのは奏だった。


「あ、おはよう。奏」


 俺は奏に向けて微笑み返した。

 昨晩、奏と電話をした時、朝食を作りに来てくれると言っていたが、時間的に始発で来たのだろうか?


「うふふ。あっくん、今日は起きるの早いね」

「そうだね。エアコンが消えちゃってさ」

「へー。それは寝苦しい夜だったね」

「うん。でも一番は、エアコンが壊れたんじゃないかってひやひやしたよ」

「うふふ。今の時期に壊れたら、この部屋ではもう寝れなくなるもんね」

「本当だよー。いやあ、焦った」

「……」

「……」

「うふふ。もしエアコンが壊れたら、しばらくウチに泊まりに来てもいいんだよ?」

「へ?」

「うふふ」

「……」

「うふふふふ」

「…………」

「……」

「それもいいかもねっ」

「でしょ?」


 いやあ、相変わらず奏は冴えているなぁ!


「……あ。スマートホームハブ、使ってくれているんだ」

「うん。これ、すごい便利だよ。ありがとう」


 今更だが、俺の部屋にスマート家電の普及が進んだのは、奏が例のハブをくれたためだった。

 ちなみに、俺の部屋のスマート家電に接続可能な人物は、俺と……例のハブをくれた奏の二人。


 つまり、奏であれば俺の部屋のエアコンを遠隔で停止させることも可能だったわけだが……まあ、そんなことをして奏に益があるはずもないし、まずないだろう。


「うふふ。あっくん、すごい汗だね」

「え?」

「洗濯機に入れてくるから、パジャマ、渡してくれる?」

「……え?」

「……」

「……」


 ……俺の部屋のエアコンを遠隔で停止させて、奏に益があるはずもない。


「…………」

「…………ごめんね」


 むしろ、不利益を被らせる形になって、俺は申し訳なさそうに謝罪をした。


「うふふ。大丈夫。全然、気にしなくていいから」

「じゃあ、一旦パジャマを脱ぐから、部屋から出てもらえる?」

「うん。わかった」


 奏は微笑んで頷いて、一度部屋を出た。

 さて……俺はTシャツを捲ろうとした。


「あ、あっくん」


 そのタイミングで、奏が再び扉を開けた。


「実はウチ、洗濯機を新しくしたんだ」

「へー。そうなんだ」

「……だから、あっくんのパジャマ、今日はウチで洗っていい?」

「……え?」

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「うん。是非頼むよ」

「うふふ。でへへぇ」


 奏はだらしない顔で笑って、扉を閉めた。

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― 新着の感想 ―
幼馴染で純愛で溺愛で変態な奏ちゃん。 平然としてるあっくんはやはりすごい漢だな~、と妙にフラットな心地で感動。 終盤多分半眼ジト目で拝読した今話でした( ̄▽ ̄;)
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