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余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第十四章

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84/84

84.早く出発しろ

 奏にパジャマを渡した後、俺は普段着に着替えて廊下に出た。そして階段を下りて、リビングへ。


「すんすん」


 奏はフライパンで調理をしながら、俺のパジャマの匂いを嗅いでいた。


「あ、あっくん」


 こちらに気付いた奏は、俺に微笑みかけた。


「奏、どうして俺のパジャマを持っているの?」

「え?」

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「うふふ。あっくんったら、急に変なことを言い出すんだから」

「えっ」


 あれ?

 他人の家で他人の着ていた寝間着の匂いを嗅いでいるって、普通のことなのか?


 俺からしたら奏のしていることの方が違和感を感じたから尋ねてみたのだが……。


「ごめんごめん。あはは、俺ったら、どうしちゃったんだろう」


 まあ、奏が変なことを言うはずがないし、俺が間違っていたんだろう。

 あはは。

 

「いつも朝ご飯、ありがとうね」

「ううん。気にしないで。日頃のお礼だよ」

「お礼なんて……それをしないといけないのは、むしろ俺の方じゃないか」

「えっ」

「えっ」


 奏、いきなりすごい食いついてきたな。


「お礼、してくれるってことだよね?」

「ま、まあ……」

「うふふ」


 奏は微笑んだ。


「うふふふふ。じゃあ、今日はあっくんにたくさん、お礼をしてもらっちゃおうかな」

「そ、そうだね……」


 ……ま、実際これまでたくさん、奏にはお世話になったし、お礼、しないとね!


「あっくん。朝ご飯出来たよ」

「ありがとう」

「はい、召し上がれ」

「うん。頂きます」


 隣に座った奏は、彼女が振舞ってくれた朝食を頂く俺を笑顔で見守っていた。

 ……ふと思った。


「奏」

「何?」

「君は、いつも自宅で朝ご飯を食べてきているの?」

「え? ああ、うん。そうだよ」

「じゃあさ、明日からはウチで食べなよ」

「……」

「……」

「…………ふぇ?」

「明日からはウチでご飯を食べなよ」

「え。あ。や……聞こえてなかったわけじゃないよ?」

「明日からはウチでご飯を食べなよ」

「き、聞こえているよ。あっくん……」


 奏の顔は何故か真っ赤だった。


「あ、あっくん。急にどうしたの?」

「いやさ。なんだか最近、いつも君に朝ご飯を振舞ってもらっていると思ってね?」

「お、思ったんだ」

「で、よくよく考えれば、いつも朝ご飯を振舞ってもらうなら、君にもウチでご飯を食べてもらえばいいんじゃないかなと思ってね?」

「お、思ったんだ……」

「どうかな?」

「……あ、あっくん」


 奏は俯いた。


「わかっているの?」

「何を?」

「一緒に……毎朝、ご飯を食べるって意味?」

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「え?」


 はて。

 毎朝一緒に朝ご飯を食べることに特別な意味なんてあるのだろうか?

 だって、家族が一緒に朝ご飯を食べることは、基本的には当たり前のことだろう。


「……気付いてない」


 奏は何故か俺を睨んでいた。


「……まあ、でも折角だし、明日からはそうさせてもらおうかな」

「うんうん。それが良いよ」

「……じ、じゃあ、あっくん。明日からよろしくね」

「うん、よろしく。奏」


 俺は微笑んだ。


「明日からは毎日、一緒にお味噌汁を飲もうね」


 奏の顔はさっき以上に真っ赤になった。

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― 新着の感想 ―
幸せな朝の風景なのに何となく仄かにそこはかとなく、ホラー味^^; 目の前にそのひとが在るというだけで幸せで、それ以外はどうでもいい、と言わんばかりの歪な箱庭。 傍から見ていると恐怖だけど、当人たちが幸…
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