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余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第十四章

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82.水着

「もしもし、奏?」

「あ、あっくん。こんばんは」


 奏からの電話に応じると、彼女はあっけらかんとした口調で返事をくれた。

 

「こんばんは。何度も電話をくれたのに出れなくてごめんね」

「ううん。こっちこそ何度もごめん。迷惑じゃなかった?」

「あはは。迷惑だなんて全然、そんなことなかったよ」

「そっか。それなら良かった」


 あはは、と俺達は笑い合った。

 そして……。


「それで、あっくん。綾香ちゃんとの電話はまとまった?」


 奏は電話口で俺に尋ねてきた。

 ……いつも通り、明るい声色だったが、なんだか少し声のトーンが低めだったような気がした。


 そんな声で奏が発した言葉に、俺は違和感を覚えた。


 ……あれ、高垣さんと電話していたこと、奏に話していたっけ?


「うん。話はまとまったよ」


 まあ、奏と俺は最近、結構仲が良いし、知らない内に話したのだろう。


「そっか。うふふ。そっかそっか。うふふふふ」


 奏は楽しそうに笑っていた。

 奏が楽しそうに笑っていると、こっちまで嬉しい気持ちになってくるなぁ!


「そういえば奏、電話の用件ってなんだったの?」

「あ。それね」


 奏は思い出したように返事をしてくれた。


「あっくん、明日は暇?」

「暇か暇じゃないかと言えば、勉強があるから忙しい」

「そっか。じゃあ、勉強をしない時間のことなんだけど」

「うん」

「その時間は暇?」

「うん」

「そっか。うふふ」


 電話口の奏の声は、いつもより楽しそうだった。


「じゃああっくん。明日、一緒に買い物に行きましょう?」

「買い物?」


 奏と一緒に買い物、か。

 悪い気はしない。

 ……が。


「一体、何を買いに行くの?」

「えーと、まずは映画を見るでしょう?」

「買い物に行くんじゃないの?」

「それでー。カラオケに行くでしょ?」

「……買い物」

「それでそれでっ。映画の感想やあっくんの歌声に関して喫茶店で一緒にしばらく語り合うの」

「買い……もの?」

「で。一緒に水曜日に着る水着を買いましょう」

「あー。その買い物か」


 なるほど。納得。


「あたし、海に行くのなんて幼稚園の時振りだから。もう着れる水着がないんだー」

「それは大変だ」

「だから、一緒に水着、買いに行かない?」

「行かない」

「……」

「だって、俺よりも高垣さんとか門倉さんと一緒に水着を選んだほうが、センスが良いものを買えると思うよ?」

「ううん。あの中だとあっくんが一番センスがあるよ」

「そんなことないでしょ」


 俺、ファッションに疎いし。


「あるある。皆言ってるよ?」

「何を?」

「あっくん、すっごく服のセンスが良いって」

「……本当に?」

「うん。本当本当」


 奏の声的に、嘘を言っている様子はない。


「あっくん。あっくん」

「何?」

「冷静に考えてほしいんだけどさ……」


 奏は続けた。


「あたしがこれまで、あっくんに嘘をついたこと、一度でもある?」

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「ない」

「でしょ?」

「そっかー。俺、センスが良かったのかー」


 少しだけ嬉しいな。


「だから、一生のお願いと思って、水着選び、付き合ってくれない?」

「あはは。しょうがないなー」


 そうであれば、奏のために一肌脱いであげるとしようかな。


「うふふ。うふふふふ。それじゃあ、あっくん、決まりだね」

「うん」

「時間と場所は後で連絡するから」

「え? いつもみたいにウチに来てくれればいいじゃない」

「……!」


 あれ、俺もしかして、変なこと言っちゃったかな?


「も、もうっ。あっくんの大胆!」


 ……大胆、か?


「じゃあじゃあっ! 明日、いつもの時間にあっくんの家に行くから! 朝ごはん作るから! お腹空かせて待っててね!」

「うん。いつもありがとう」

「うふふ。それじゃあ、あたし、そろそろ寝るね。あっくんも早く寝るんだよ?」

「うん」

「それじゃあ、お休み」

「お休み、奏」

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― 新着の感想 ―
特定ハニーに対してだけハニトラに掛かりまくる鈍感系スパダリの図^^; コイツラはこれでいいんだ、うん。 妙なところで奇妙な安定感にほっこりさせられる今話でした♪
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