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余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第十四章

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81.鳴りやむ電話

 お腹を見せてくれた奏が我が家を去ったのは夕飯を食べ終えた後のこと。

 彼女を駅まで送った後、俺は一人自室に戻り、勉強に没頭した。

 いつもならこのまま、寝る時間まで勉強を続けるのだが……今日は、十一時くらいに机に置いていたスマホが鳴り始めたから、一度手を止めた。


「もしもし」

『あ、敦君。こんばんは』


 スマホの電話に応じると、聞こえてきたのは高垣さんの声だった。


「こんばんは。どうしたの、こんな時間に」

『何、あたしからの電話なんて迷惑だった?』

「ん? 別にそんなことはないけれど」

『……ふうん』


 俺はスマホのスピーカーをオンにして、再び勉強を始めた。


『で、どうだったの?』

「んー?」

『奏ちゃんのこと』

「あー」

『悪かったわね。あなたに面倒事を任せてしまって』

「ううん」

『……敦君、今、勉強中でしょ』

「んー」

『ちょっと。人との電話中に勉強に集中しないで。さっきから生返事しか返ってこなくて話が進まないじゃない』


 高垣さんの声は少し怒っていた。


「ごめんごめん。……なんだっけ?」

『はぁ。マジかこいつ。あたしの言葉全部聞いてなかったんだ』

「ごめんって」

『……昨今、マルチタスクだなんだって言われるけれど、そうやってながら作業で集中力を分散させた作業を続けると、結果的に全部が中途半端になったりするから気をつけなさいよ』

「……いきなりすごい具体的な話が飛び出してきた」


 まるで高垣さんの実体験を基にした話のようだ。


「まあ、俺なら大丈夫だよ」

『そんなわけないでしょ。本来のこの電話は五分で終わる内容だったのに。あなたが生返事ばっかり返す上、無駄話を増えて、もう三分も話し込んでる』

「……」


 高垣さん、こういう時、小姑みたいに目ざといんだよな。

 ……いや、この説教の仕方は、避難訓練時の校長先生のようにも聞こえるような?


「ごめん。一旦、この電話にちゃんと集中する」

『……あなたって意外と聞き分けが良いわよね』


 高垣さんの声は少し感心しているようだった。


『オホン。で、奏ちゃんはちゃんと海に誘えたの?』


 咳払いを一つして、高垣さんはもう一度俺に尋ねてきた。


「あ、うん。なんとか無事にね」

『そう。それなら……良かったわね。奏ちゃんと海に行けて』

「うん。とても楽しみだよ。……勿論、高垣さんや門倉さんと一緒に行けることもね」

『馬鹿っ! あんまりそういうことを言うと……』


 俺のスマホが震え出した。


「あ。奏から電話だ」


 通知を見るに、どうやら先程家に帰った奏から電話が来たらしい。

 

『ひぇぇ……』


 俺のスマホは高垣さんの怯える声を聞かせた後、二度、三度と続けて震えた。

 どうやら奏から、何度も電話呼び出しがされているみたいだ。


「あはは。奏からすごい電話通知が来る」

『あなた、どうして笑ってられるの?』

「え? まあ、いつものことだしね」

『……それを日常として受け入れるべきではないと思う』


 そうなのかな?


『奏ちゃんの電話に出てあげたら?』

「え? いいよ。先に電話をくれたのは君だし」

『だからそういうの止めてって』


 なんで?


『……あなた、そんなんだといつか奏ちゃんに見捨てられるわよ?』

「……見捨てられるって?」

『他の男にとられるってこと』

「……あはは。まあ、仕方がないさ」

『はあ? ……そんなんでいいわけ?』

「だって……奏はすごく魅力的な女の子だからね。たくさんの人に好かれるのも当然じゃあないか。俺と遊んでくれている今の方が異常なんだよ」


 俺は苦笑した。


「だから、俺は必ず奏の隣に立てるような男になってみせる」


 途端、スマホの電話通知が止んだ。


「……だから、まあ、一旦別の誰かのところにいっても、最終的に隣にいてくれれば、俺はそれでいいんだ」

『あっそ。奏ちゃんが海に行けることわかったから、もう用事ない。電話切るね』


 スマホからツー、ツーと電子音が聞こえた。

 ……とりあえず奏の電話に折り返すか。


「あ、また奏から電話かかってきた」


 いやはや、図ったようにグッドタイミングだ。

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― 新着の感想 ―
謎のACアダプタ仕事してるなあ……(再設置されてる前提)
「……だから、まあ、一旦別の誰かのところにいっても、最終的に隣にいてくれれば、俺はそれでいいんだ」 いやいやいや、一体どこの世紀末覇者だよ! にしてもACアダプタは設置されてないんだよね?ね?
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