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余命宣告を乗り越えた幼馴染の愛が重い  作者: ミソネタ・ドザえもん
第九章

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43.友達じゃない

「……うぅ。どうして毎回、こうなるのよ」


 高垣さんは涙目になりながら一歩後ずさった。

 毎回、こうなるとは一体、どういうことだろう……?


 そういえば高垣さん、結構厳しめな口調をしていて物怖じしない性格をしている割に、奏相手だとずっと怯えた子犬みたいになっているな。


 ……相性の問題だろうか?


「ねえねえ、高垣さん。友達だよね、あたし達」


 奏は抑揚のない声でそう言った。


「……も、勿論」


 高垣さんは口ごもった。

 まあ、奏が転校してきてからおおよそ一か月。

 俺の知らないところで、この二人ももう親友関係みたいになっているのだろう。


「……」

「……高垣さん?」

「いや冷静に考えたら、あたし達友達じゃなくない?」

「はう……っ」


 え、そうなの?


「だって、一ノ瀬さんが転校してから一か月近く経つけど、会話した回数って片手で数えられる程しかないよ?」


 え、そうなの……?


「……それくらいの軽薄な関係を友達だと呼称するのは、一回話しただけの人を顔見知り認定するこじれ系動画配信者くらいだよ」


 これは中々、高垣さんの悪口は相変わらずエッジが利いている。


「……あ、あたしは高垣さんのこと、友達だと思っていたよ?」


 ……奏は気付いたら半泣きだった。

 この姿を見るに、どうやら本心で言っているらしい。


「えぇ。そうだったの? だったらもっと積極的に絡んでくれてもいいのに」

「そ、それは……」

「それは?」

「だって高垣さん……カッコいいから」

「どこがよ」

「その物怖じしない性格とか」

「いや、別に誇れるもんでもないから。この性格は」


 まあ、一部の層には受ける性格も。また別の層では受けが悪く、反感を買い人間関係のトラブルを生むなんてことは珍しいことではないし、その通りだと思った。


「……むぅ」


 奏は頬を膨らませていた。


「もういい? 一ノ瀬さん。あたし、萩原君に用事があるんだよね」

「ああ、そういえばそうだった」

「……待って、高垣さん。まだ。まだだよ……っ! あたし達の舌戦はまだ始まったばかりじゃない」

「えぇ……? 舌戦を挑んできていたの……?」


 奏はいつになく真剣な顔をしていた。

 どうやら……本気らしい。


「とりあえず、高垣さん。……ううん。綾香ちゃん」


 ゴクリ。



「あたしと友達になってください」



 言った……っ!

 奏の奴、なんて力強いお願いだ。

 俺だったら即答でこちらこそって言うところだ。


 ……これはさすがの高垣さんも狼狽えているに違いない。


「えぇ……?」


 ……狼狽えていたけど、思ってたのと違う。


「お、思ってたのと違う!」


 奏も同じことを思ったらしく、声を荒げた。


「……あ、綾香ちゃん。あたしと友達になるの、嫌?」


 奏は目を潤ませて、懇願し始めた。


「……うーん」

「……」

「嫌か嫌じゃないかで言えば……」

「……」

「うーん……」


 ……長考だな。

 長い。長すぎる。

 朝のショートホームルーム、始まっちゃうよ。


 ……もしかしてそれが狙いか?

 不祥事を国会で質問された時、明後日の返答をして時間稼ぎをしてその場を凌ぐ政治家仕草か?


「……まあ、いいけど」


 あ、違ったみたいだ。


「やったぁ!」

「待って」

「……え?」

「友達になってもいいけど、条件がある」


 ……友達になることって、条件を取り付けないといけないものなんだっけ?


「うん。なんでも聞くよ」

「ん? 今、なんでもって」

「言ってない」

「言ってた……うん。言ってなかったね」


 高垣さんはゴホンと咳払いをした。


「まず、いきなり背後から忍び寄らないで」


 そういえば高垣さん、奏と話す時は毎回、飛び上がるところからスタートしているな。


「びっくりするから、本当に」

「……えー? あたし、いきなり背後から忍び寄ってる?」

「自覚ないのかよ……」


 高垣さんは頭を抱えていた。


「次に、圧のある話しかけ方をしないで」

「……あはは。なるだけ優しく話していたつもりだったんだけどね?」

「なら、余計たちが悪いから……」


 高垣さんは呆れ果てていた。


「最後に……っ。これが一番重要な条件」


 呆れた様子ながらも、高垣さんは言いたいことは全部言うだけの胆力のある人間だった。


「何々?」


 奏は笑顔で高垣さんに迫った。


「あ、圧つよぉ……」


 奏の笑みを見た高垣さんが、また一歩後ずさった。


 ……可愛い笑みを見て、圧が強いとは、一体?


「……と、とにかく最後の条件です」

「うん。教えてっ」

「……まあ、これは条件かと言えば、ぶっちゃけちょっと違う」

「そうなの?」

「うん。どちらかと言うと……宣言?」

「宣言?」


 奏は小首を傾げた。

 そんな奏に向けて、高垣さんは、ごくりと生唾を飲み込んで続けた。



「あたしは別に萩原君のこと、好きじゃないからっ!」



 ……なんか急に振られたんだけど。


「だから、仲良くしましょう!?」


 ……えぇ、それは悪手でしょう。

 奏と俺は親友。

 普通、親友のことを貶されたら……怒りに駆られるものではないだろうか?


 ……奏は。


「本当っ!??」


 満面の笑みだった。


「うん。好きじゃない。タイプじゃない。まったくね」

「本当に本当!?」

「うん。本当、本当」

「うふふ。うふふふふっ!」


 奏はその場でぴょんぴょん飛び跳ねた。



「綾香ちゃん、大好きっ!」



 そして奏は……高垣さんの胸に飛び込んだ。


「……嘘だったら、わかってるよね」


 そして……こちらには聞こえない声でぼそりと何かを呟いた。

 

 ……高垣さん、可愛いクラスメイトに抱きしめられているのに、なんでか顔が真っ青になっている。


 一体、何を言われたのだろう?

ちょっと口が悪くてヤンデレの想い人と異性間の友達になっただけでここまでされるのさすがに不憫だわ。

くそ。もっと酷い目に遭わせないと。

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― 新着の感想 ―
まぁ、そこははっきりさせとかないと人死にが出ますからね……。
拝読中は小悪魔と被害者のコント(?)にニマニマし通しだったのですが、後書きが一番悪魔だった^^;
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