表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼姫と呼ばれた元ヤンが気弱令嬢に転生した件〜令嬢ライフも、意外といいものだな!〜  作者: seika
王宮編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/39

赤髪のキース

「あの方は確か、ジュラシック公爵家のご令嬢でしたわ」

「まあ、公爵家を敵に回してしまわれたのね」


 ひそひそと、憐れむようでいて、どこか楽しげな声が背後から聞こえてくる。

 人の修羅場を酒の肴にでもしているつもりなのだろう。


「ミリア……その、すまない……」

「何に対してのすまないだ、それは」


 あたしの言葉に戸惑いながら、ルーカスは不安気な表情を浮かべた。



「お〜、ルーカスじゃん。相変わらずお堅そうな顔してんな」


 張り詰めた空気に似つかわしくない、軽い声が割り込んだ。

 手を振りながらこちらに歩いて来るのは、ルーカスとは違うタイプのイケメンだった。赤髪に人懐っこそうな笑み。身なりは整っているが、どこか遊び慣れた雰囲気がある。


 一言で言うと、チャラそう。


「さっきは修羅場だったな〜。

 最近は、随分大人しくしてるって聞いたけど……」


 赤髪は楽しそうに笑いながら、あたしに目を向ける。


「ミリア嬢も、久しいな」


 視線が、遠慮なく上から下へ。

 顎に手を当てて人の身体を品定めでもするみたいに、じろじろと見てくる。


「ふぅん……」

 口角を上げ、面白いものを見つけた子供のような顔をした。


「ミリア嬢が身に纏っているもの、お前が用意したんだろ。相当入れ上げてるな」


「見せ物じゃない」


 赤髪の前に立ったルーカスに遮られ、あたしの視界はその背中で塞がれた。


「おー、怖い怖い。

 そんなに睨むなって、減るもんじゃないだろ?」


 両手を軽く上げ、からかうように笑った。

 ルーカスは答えない。ただ、視線だけで「これ以上近づくな」と語っていた。


「……ま、いいや。それより俺の武勇伝もう聞いたか? 

 アンデッド国に攻め入ったんだぜ。軍を率いて、隊長としてな。その功績を讃えられて、今夜はご招待ってワケ」


 やれやれと首を振る仕草とは裏腹に、表情はどこか誇らしげだった。


 まあ、此処では殺し合いも普通みたいだし。戦争で他国に攻め入る事が功績と崇められるわけか。実際はそう命じた奴がいるんだろうけど、政治のことはあたしには分からん。


「なぁ、ミリア嬢はどう思う?

 女の子ってさ、こういう話を野蛮だとか、逆に格好いいとか……いろんな反応するだろ?」


 早速試されているな。

 ここの奴らは人を試すのが好きみたいだ。


「おいっ、キース。いい加減に――」


「……威張り散らすのは感心しないが。

 大勢の軍を率いるというのは、相当な覚悟と実力がなければ出来ないことだ。引き続き、精進するんだな」




「え、!? ちょっ……今、褒められた? ってか評価?

 そんで、なんで上から目線なんだよ! 上官でもあるまいし!」


 慌てふためきながらも、キレの良い突っ込みを入れる赤髪。


「……まあ、悪い気はしないけどさ」


 困ったように首の後ろを掻き、気まずそうにあたしを見た。


「変なやつだな。前はルーカスの後ろに隠れて、俺とろくに目も合わせなかったのに」


「行くぞ、ミリア」

 言葉を遮るように、ルーカスがあたしの腕を掴んだ。


「おいおい、急かすなよ」


 ルーカスの肩に手を置き、顔を近づけた。


「興味出てきちゃったな。ミリア嬢に」


「……っ、貴様!」



「ねぇねぇ、キース様〜! 早くいらして?」


「あー、はいはい。

 じゃ、呼ばれたから行ってくるわ」


 ひらひらと手を振り、キースは笑いながら女達の輪へと戻って行った。その背を見つめたまま、ルーカスはあたしを掴む手にわずかに力を強めた。


 あいつが何を吹き込んだのかは聞こえなかったが、この夜会で厄介な奴等が増えた気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ