結果は……?
村の復興計画は順調に進み、急速に形を整えつつあった。
あれほど危惧していた獣も、今では村の奴等だけで追い払えるようになった。
柵もパワーアップした。藁を垂らして外部から見えなくし、鈴をつけることで侵入時には音が鳴る仕組みを作った。
これは昔、仲間と作ったもの。
プレハブみたいな場所を自分達の拠点にしていた時、ヤンキーからの奇襲にいち早く気付くために、頭が武器だった悟が考えた仕組みだ。
フィオナや村の女達はあたしが考えたと勘違いしているが、そのままにしておこう。
理由は簡単。あたしが賢い奴に見えるからだ!
他の事だってなんとなく提案しただけのこと。頭が冴え渡っていたのもあるが、ルーカスと練った策だ。あたしの提案に、あいつが形にして落とし込む。その流れがスムーズなだけの話で、ルーカスは意外と頼れる奴だった。
そして昨夜、村には待ちに待った雨が降り注いだ。
朝、池に行くと予想以上の雨水が溜まっていて、池から溢れ出しそうなほど。
実験は……誰が見ても成功だった。
「こりゃぁ、すげえ!!」
「綺麗な水がいっぱい溜まってる!」
ふむふむ。皆で分けたとしても、1ヶ月分くらいにはなるだろう。
綺麗になった池は心底が透けていた。見ただけでも、あたしが2人分は沈みそうなくらいの深さがある。普通に温泉とかにしてもいんじゃないか?いや溺れるか。
土が入らないように業務用シートを池の中に敷いており、その上に重ためな石を並べ、嵐が来ても飛ばないようにする。普段はもう一枚のシートを被せて、外部からの汚れを防ぐ。
池の水を汲み、各家で濾過したものは飲み水に。そして、二の次だった洗濯や水浴びも出来るし、梅雨の時期なんかは、溢れるほど貯蓄することも可能だ。雨が降らない時期、放っておくしかなかった畑にも、水を与えられるようになった。これで作物も育つ。
獣に畑を荒らされることもなくなり、水不足の問題も解消された。
今から仕込んでおけば、近いうちに作物を収穫できるようになるだろう。
これで一石二鳥……いや、それ以上の結果になりそうだ。
なにしろ、皆の親密度が大幅に上がった。
これなら歪み合うことも、何かを奪い合うこともない良好な関係が保てるだろう。
生活の余裕は心のゆとりにも繋がるしな。
だが、このめでたい日を待ち構えていたかのように、忙しいと言って参加しなかった3人が姿を現した。
「おぉ、これはこれは! 見事なもんですなぁ! いつの間にやら村の景色が変わっているではないですか。流石、ルーカス様は素晴らしいですな!」
村長の後ろにいる男2人は、ニヤニヤと笑いながら口笛を吹いていた。
「……村長、これはミリア嬢のおかげだ。
それと皆にも徹底しているが、ここの水は平等に分けることになった。持ち帰った分だけ家で濾過して飲むことだな」
「独り占めしようなんて、そのようなこと、私はこれっぽっちも考えてもおりませんぞ」
高笑いをする村長。
皆の表情は険しく、あたしの後ろから舌打ちが聞こえた。
そりゃそうだ。働きもせず、美味しいところだけ持っていくんだからな。
「そんなことより、その濾過? というものを私達にも教えて頂けますかな?」
「……分かった」
「いえいえ! ルーカス様のお手間を煩わすわけには! その護衛の方で十分で御座います!」
「そうか、行け」
「ハッ!!」
護衛の1人が、村長と共に家へ向かった。
最後まで、イケすかない奴だったな。
「まぁ、これで村問題は解決したみたいだし、そろそろ帰る時が来たか」
「そうですね、早ければ明日にでも、ここを出発しましょうか」
3週間くらいか……。
あたしは周りを見渡した。
いざ帰るとなると、少し寂しい気がするな。
フィオナ達と一緒に荷造りをしていると、1人の客人がシャナの家を訪れた。




