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鬼姫と呼ばれた元ヤンが気弱令嬢に転生した件〜令嬢ライフも、意外といいものだな!〜  作者: seika


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16/30

ある村について

 ……という訳で。

 あたし達は今、4人で馬車に揺られているのだが。なんだこの状況は。


 窓の外では、馬車を取り囲むようにルーカスの護衛が数人、馬でついて来ていた。


「何なりとお申し付けを!」と豪語していた兄だったが、仕事が溜まっているからと、心底残念そうに屋敷に残ることになった。


 あたしを軽々と差し出しやがって。

 ルーカスの護衛がいるからと、あたしのお世話要員で、ルーシィとフィオナが同行することになった。お世話されるのは別として、ルーシィ達がいるのは精神的にも心強い。


 今向かっている村では、満足に風呂も入れないらしい。

 それは平民にとっては当たり前のことなのだろうが……。

 何日風呂無しで我慢できるか、それが問題だ。




「で? あたしらは何をすればいいんだ?」


 ルーカスは少し困ったように苦笑いした。


「まず状況を説明しますが、現在問題が起きているその村には、鉄鉱石が採れる鉱山があります。それを我が家の探索部隊が発見し、父上はその村を含む領地を買い取りました」


「鉄鉱石ってのは何だ?」


 あたしは前に座っているルーシィに、小声で聞いた。


「簡単に言うと、鉄の成分が含まれている岩石のことです。


 特殊な方法で鉄だけを取り出し、槍や剣、鎧、矢じりなどの武器や防具に使われます。ですが、鉄鉱石が採れる場所は限られていて、それを所有している貴族は国内でも数える程しかいないと言われているのです。


 それを国王に献上すれば、爵位が上がる可能性もある。あるいは武器や防具を優先的に調達することにも繋がります。つまり、鉄鉱石はとても貴重な資源なのです」


 ルーシィの丁寧な説明が終わり、あたしとフィオナはふむふむ、と納得した。

 流石はルーシィ。

 知識もあるし、説明も上手い。

 なんであたしのメイドをやっているのか不思議な程だ。

 ルーカスが頷き、言葉を紡いだ。


「村では鉄鉱石が取れても活用する術がありませんし、王都との連絡手段もなく、売却のために出向くこともできなかったのです。自力で辿り着こうにも馬車がなく、仮にあったとしても扱える者がいませんでした。


 それに万が一、王都に辿り着けたとしても交渉の知識がなければ、不利な条件で騙されるのは目に見えていました。父上はそうした事情を踏まえ、良い交渉相手になれると判断し、早速取引を持ちかけたそうです。村を代表して村長が提示してきた条件は、生活の支援と村で起きている問題の解決でした」


「村の問題?」


「ええ、その村では貧困が進み、毎年、数十人の村人が亡くなっているそうです。原因は病だけではなく、自然災害や、最近は獣の被害まで重なっていると聞きました。


 父上は、まず食料の寄付などで対策を講じました。しかし、それだけでは状況は改善せず、村に回せる予算もすでに尽きてしまったそうです。追加の支援についても”無駄になる”といった反対意見が多く、これ以上の出費は難しい状況だとか。


 かといって、何もしない訳にもいきません。何かしら手を打っていると示さなければならない。

 その結果、私に白羽の矢が立った……というわけです。笑ってしまうでしょう。自分の失態を息子に押し付けるんですから」


 事の顛末を全て話し終えたルーカスはふっと笑った。

 それは失望なのか、呆れなのかあたしにはよく分からない。

 けれど、失望するのは親に期待していたからだ。


「ミリア嬢であれば、この状況を打破できるのではないかと、そう考えました。

 このような辺境の地へお連れしてしまい、心から申し訳なく思っています。それでも、どうか力を貸して頂きたい」


 頭を下げるルーカス。

 頼まれれば、断れないのが私の性分だ。

 それに、ちょっと見直したぞ。

 女にしか興味がない奴かと思っていたが、ちゃんと村のことも考えているんだな。伯爵家は伊達じゃないというわけか。


 ルーシィとフィオナが、あたしの答えを待っている。

 まあ、ここまで連れて来られてわざわざ断る奴もいないだろう。


「分かった。でも、見るだけだからな」


「……ミリア嬢なら、そう言ってくださると思っていました」





 そして馬車で移動することおおよそ三日目。

 三日、だと……。


 数日掛かるとは聞いていたが。

 身体がベタベタする。風呂に入りたい。

 ふかふかのベッドで眠りにつきたい。


 貴族生活によってあたしは贅沢を覚えたらしい。

 前は風呂に入らなくても、床で寝ても平気だったが、もう耐えられない体になってしまった。貴族から平民になれないと言われる意味がよく分かった。


 ルーカスは慣れているようで、文句の一つも言わない。護衛と一緒に、テキパキと火起こしや野営の準備もしていた。あたしの家の前で数日過ごしても平気だったのは、慣れていたからか。


 ルーシィやフィオナも目に見えて疲弊していた。

 フィオナなんか、用意していた簡易コップをすでに5個も駄目にしていた。疲れて力加減が出来ていないようだ。もし限界に達して暴れたら、止められるだろうか……。


 どうか早く着いてくれ、と祈るばかりだ。



説明回でした!

さてさて、何日掛かることやら……。

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