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 春学期の試験期間の最中だが、自分たちの試験が一通り終わった名雲と古泉は学食にいた。昼休みがもうすぐ終わる時間なので学食は空いている。名雲は力尽きたようにテーブルに突っ伏して寝ていて、その向かいで古泉は本を読んでいる。

 古泉の携帯電話に天水からメールが届いた。学食にいることを伝えると、間もなく天水がやってきた。

「学食で読書と昼寝って」

 名雲は突っ伏したまま軽く手を上げて挨拶した。

「天水もテストは終わった?」

 と古泉が聞いた。

「うん。調べたいことがあって、今まで図書館にいたんだ」

「お昼は?」

「まだ」

 天水は鞄から財布を取り出し、鞄を古泉の隣の椅子に置いた。

「学食久しぶりだな。何かおすすめある?」

「からあげ丼」

「もうちょっと女子力溢れるメニューはない?」

「からあげ丼小」

「ありがとう。参考になったよ」

 天水は食券を買いに行った。名雲は未だに顔をあげない。

 読書に戻り、しばらくすると天水がお盆を持って戻ってきた。乗っていたのは味噌ラーメンだ。

「古泉の意見も参考にはしたよ」

「女子力?」

「効能とかが、きっと女子力」

 テーブルに突っ伏していた名雲が、

「味噌ラーメン」

 と、唐突に言ってから体を起こした。

「え? なんでわかったの?」

「味噌ラーメンとは言ってないはず」

 二人は驚いて聞いた。名雲は眠そうな目のままこたえる。

「まあ、あれだよ。第六感的なかんじのやつ」

「曖昧だなあ」

「においじゃないの?」

 第六感などというものを信じるつもりのない古泉が聞いた。

「においだけで判断できると思う?」

「私、ゆっきーの嗅覚には絶対の信頼をおいてるから」

「人柄とかに信頼をおいてほしかったな」

「それは、まあ、ねえ?」

 天水は古泉に同意を求めた。

「でも、実際においだけでわかるとは思えない。そんなに特徴のあるものではないし」

 古泉が色々考えていると、天水が、

「あ、わかった」

 と、手をぽんとたたいた。そして名雲に耳打ちをする。

「正解」

「やったー。古泉に勝ったー」

「いつから勝負になったんだ」

 子供か、と思いつつ、このままわからないのは古泉としても面白くない。

「わからん」

「諦めちゃダメだ古泉、まだ時間はある」

 天水は励ますように言った。

「あとどれくらい?」

「五秒」

「もうどうしようもない」

 五秒たった。

「まあ、おばちゃんの『味噌ラーメンおまちどうさま』って声が聞こえただけなんだけどね」

「えー」

 古泉は抗議するような声を出した。単純なだけに、わからなかったことが悔しい。

「あ、ラーメンのびてる」

 食べ始めようとした天水が言った。

「ここまでが名雲のねらいだったのか」

「いや。ここまでは考えてなかった」


「天体観測って、部外者も参加できる?」

 のびてしまった味噌ラーメンを食べ終わってから天水が尋ねた。

「できるよ。参加したいの?」

「私だけじゃなくて、写真部で」

「大丈夫、だと思う」

 名雲はスマートホンを操作した。

「来週の月、火、水あたりがいいかな」

「それなら火曜日は?」

 火曜日は写真部の活動日で、夏休みも同様に部活がある。

「ちょっと聞いてみる」

 数分後。

「いいって」

 天水と古泉にスマートホンの画面を見せた。

 あっさりと決まってしまった。天水は勝手に決めてしまったが、写真部の面々への説明はこれからだ。

「なんで来週?」

 と古泉が聞いた。

「ちょうど新月だからね。月の明かりがない方が星は見やすいんだ。それに、晴れるみたいだし」

 その後、写真部の部室で天水が天体観測に行くことを説明した。反対はなく、全員参加できるとのことだった。

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