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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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体育館の入口

【本文】

 市民体育館の駐車場には、影獣が六体いた。

 建物から漏れる人の声へ集まり、正面玄関を囲んでいる。岳は正面から倒す案を退けた。戦闘で壁や窓を壊せば、内部の避難者を危険にさらす。

 奈々が側溝と工事柵を使い、駐車場の端へ狭い誘導路を作る。ゴーレムが空の食缶を叩いて音を出し、影獣を一体ずつ遠ざけた。

 最後の二体だけが玄関から動かない。湊が《分配》で朔の反響探査を借りると、体育館地下の入口から同じ振動が届いている。影獣は避難者ではなく、地下の核を守ろうとしていた。

 湊は入口へ近づかないと決め、体育館職員へ地下扉を封鎖してもらう。すると影獣は警戒を弱め、ゴーレムの音へ向きを変えた。

 戦わずに正面玄関までの道が開く。

 内部では天井材が観客席へ落ち、三人が瓦礫の下にいた。奈々が崩落箇所を見て、先に支柱を入れるよう指示する。急いで瓦礫だけを持ち上げれば、残る天井が落ちる。

 岳とゴーレムが荷重を支え、小春が負傷者の状態を確認した。

 救助は敵を退けた時ではなく、建物が次に崩れない形を作ってから始まった。

 体育館職員は、地下入口へ近づかないよう床へ赤い線を引いた。避難者の中には、ポイントを得るため自分で攻略したいという若者もいる。湊は止める権限を振りかざさず、指定人数、入口移動、軍部隊消失の記録を見せた。線の内側へ入るなら、周囲の避難者まで危険になる。若者は不満を残しながらも、瓦礫運搬へ加わった。

 誘導した影獣が戻らないよう、ゴーレムは音を出しながら駐車場の外周を歩き続けた。担当者は交代し、機体の炉熱も確認する。


(次話へ)

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