十八日から三十一日へ
【本文】
最初の大規模搬入と配給見直しが終わった。
地域網の食料は、百五十人換算で三十一日分。十八日から増えたが、倍には届かない。乳児用ミルク、病人食、塩、油は別の期限を持つ。
千鶴は「食料三十一日」と一行で掲示せず、品目別の不足予定日を並べた。最も早いのは乳児用ミルク、次が油だった。
倉庫、給食センター、味噌蔵から得た物資には全て所有者と数量の記録がある。廃棄した冷蔵品も消さずに残した。
地下畑のジャガイモはまだ収穫できない。病院との交換も続けなければならない。道路が戻らなければ、次の搬入先は限られる。
それでも夕食には百五十人分の椀が並んだ。
アレルギー表示、柔らかい食事、乳児の湯、夜勤者の取り置き。全員同じではないが、全員の分がある。
湊は最後に食事を受け取った。所有者だからではなく、入口点検の交代時刻が遅かったためだ。
食堂の隅で、モモが魚肉ソーセージを少しずつ食べている。
世界は戻っていない。
それでも明日の献立が決まっていることを、千鶴は今日の成果として台帳へ書いた。
三十一日分という計算には、救助で新しい避難者が増えない仮定が含まれている。千鶴は一人増えるごとに期限がどう変わるか表へ加えた。救助を止めて日数を守るためではなく、受け入れた瞬間に必要な追加量を共有するためだ。数字が減ることを責める空気が生まれないよう、食料と人命を同じ欄で損得計算しなかった。
世界の声は三十一日を達成報酬として表示したが、誰も受け取らなかった。食事を競争の点数にしない。
翌日の献立には、今日使わなかった保存食と、傷み始めた野菜の両方が記されていた。
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