乳児のミルク
【本文】
地下で生まれた乳児のため、粉ミルクと清潔な湯が必要だった。
母乳だけで足りるかは、母親の体調による。世界の声は《完全栄養液》を高額ポイントで提示したが、成分も副作用も表示しない。
由香は使用を拒み、倉庫と周辺店舗の在庫を探した。
未開封の粉ミルクは見つかったが、乳児用の水と哺乳瓶が少ない。煮沸すればよい器具、熱で変形する器具を環が分ける。
第八迷宮の水は安全でも、調乳温度まで自動では整わない。千鶴は専用の湯沸かし場所を作り、使用時刻と作った人を記録した。
夜中に必要となるため、一回分ずつ量った粉を清潔な容器へ準備する。ただし作り置きしたミルクは保存しない。
母親は、自分だけ特別に燃料を使って申し訳ないと言った。
文は、赤ん坊が飲む分は贅沢ではないと返した。必要な人へ必要な形で渡すのが配給である。
ミルクは二十日分。乳児が飲む量は日ごとに増える。
千鶴は残日数を固定せず、一日の使用量から毎朝計算し直すことにした。
調乳場所へ入れる人を限定し、手洗いから哺乳瓶の洗浄まで順番を壁へ貼った。眠い夜中ほど、粉の量や湯の温度を間違えやすい。担当者一人だけに任せず、準備した容器と時刻を別の人が確認する。母親が自分で作りたい時も手順は同じにし、支援される側だからと作業から外さなかった。
乳児の体重も毎日同じ時刻に測り、飲んだ量だけで足りていると判断しない。母親の食事と休息も同じ表で確認した。
夜間担当は二人で交代し、一人が調乳している間、もう一人が時刻と湯温を読み上げる。
確認欄へ二人で印を付ける。
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