↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/384

一杯の差

【本文】

 配給量を年齢と作業量で変えると、食堂に不満が生まれた。

 救助班や炉の作業員は多く、寝たきりの患者は少ない。同じ列に並んで受け取るため、椀の差が目に見える。

「命の値段が違うのか」

 高齢の避難者が尋ねた。

 千鶴はカロリー表だけを見せず、病人食、乳幼児食、アレルギー対応も含めて説明した。少ない椀の患者には、別の時間に補助食が出る場合もある。

 それでも納得できない人はいる。

 真理は配給表を、仕事の偉さではなく必要量と書き換えた。作業員が休む日は量を戻し、患者の回復期には増やす。固定された身分ではない。

 湊も救助へ出ない日は通常量にした。所有者だから多く受け取る欄は作らない。

 食堂の入口に相談表を置き、足りないと感じた人が名前を書けるようにする。恥をかかせないため、理由はその場で聞かない。

 夕食後、相談表には七人の名があった。

 翌朝、三人は薬の副作用、二人は夜勤、二人は単純な量不足だと分かった。

 一杯の差を、黙って我慢させず調整する仕事が始まった。

 相談した七人以外にも、声を上げない避難者がいる。真理は食べ残しの量を席ごとに観察し、急に減った人へ体調を尋ねた。量が多すぎて残す人、歯が痛くて食べられない人、周囲へ遠慮して持ち帰ろうとする人がいた。配給した数と食べられた数は同じではない。翌日から、食後の残量も献立記録へ加えられた。

 相談表には番号だけでも書けるようにし、名前を出したくない人は寝床番号で申し出られる形へ変えた。

 配給担当自身の不足も別の人が確認する。当事者が相談表を管理すると、自分の名を書かずに我慢するためだ。


(次話へ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。