守護核の部屋
【本文】
大空洞には、錆びた鉄の柱が林のように並んでいた。
中央に黒い球体が浮かび、その下で三体の子獣が眠っている。最初に戦った個体より大きく、背中には硬い殻が重なっていた。
入口の床には白い線が引かれている。湊が工具を線の内側へ投げても反応はない。しかし人が越えれば、三体すべてが目を覚ますだろう。
「球が守護核。たぶん、あれを壊せば帰れる」
朔の反響探査では、球体の中だけ音が返らなかった。
正面から三体とは戦えない。湊たちは柱を調べ、倒せるものへ印をつけた。岳の《荷重固定》は動く物を止めるだけでなく、固定を解除した瞬間に溜まった重みを戻せる。朔が柱の亀裂を探し、小春が敵の状態を観測する。
殻の厚い二体は重殻、細身の一体は疾影と表示された。
作戦は単純だった。疾影だけを物音で誘い、柱の下へ閉じ込める。その間に球体へ近づく。
朔が空き缶を投げた。
疾影が目を開き、白線を越えた瞬間に姿が消える。次に見えたときには朔の目前だった。湊が《分配》で自分と小春の脚力を岳へ渡す。岳は二人分の力を失って膝をついた湊たちを抱え、横へ跳んだ。
疾影の爪が空を切る。
固定を解かれた鉄柱が倒れ、疾影を床へ縫い止めた。
残る重殻二体が起き上がる。遅いが、通路を完全に塞ぐほど大きい。
互いの殻を擦り合わせる音が空洞へ響き、白い線の内側だけ空気が重くなった。
そのときモモが湊の肩から飛び、黒い球体へ向かって跳ねた。
止める声は間に合わなかった。
『これ、わるい。かえして』
球体の表面に、モモの体内と同じ金色の光が浮かんだ。
(次話へ)




