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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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倉庫までの地下道

【本文】

 第九迷宮の物流路を倉庫へ伸ばすには、オルドが配送印を認識する必要があった。

 地上道路は崩落と放置車両で大型トラックが通れない。安西、岳、千鶴、倉庫勤務経験者二名が徒歩で向かう。

 倉庫周辺には爆裂種が三体いた。近づけば自爆し、建物ごと食料を失う。岳は盾で追い払わず、救助型ゴーレムへ空の金属箱を持たせた。

 爆裂種は動く箱へ反応し、倉庫から離れる。安西たちは反対側の非常口から入った。

 停電で冷蔵区画の温度が上がっている。千鶴は常温品より先に、生鮮品の状態を確認した。腐敗した物まで避難所へ運べば被害を広げる。

 配送伝票、会社印、空の搬送容器をオルドの小さな仮設扉へ通す。壁が震え、倉庫と第九迷宮の間に荷物専用通路が開いた。

 人間は通れない。箱を一つずつ載せ、到着側で数量を照合する。

 最初の米袋が地下へ届いたときも、誰も歓声を上げなかった。伝票の一番上へ、搬出時刻と重量を書く。

 食料は戦利品ではなく、持ち主と食べる人のいる預かり物だった。

 搬送中は、発送側と到着側が箱番号を読み上げた。途中で一箱止まり、オルドの通路内に挟まる。ゴーレムを入れて押すのではなく物流を全停止し、壁が動かないことを確認してから回収した。急いで流し続ければ後続の箱が潰れる。食料が多い時ほど、早さより一つも失わない手順が必要だった。

 冷蔵品は到着と同時にセレネの区画へ送り、箱の中心温度を測った。通路が開いていても、保冷が切れる時間はゼロではない。

 温度が基準を越えた二箱は食用から外し、検査が終わるまで封鎖棚へ置いた。


(次話へ)

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