十八日分の食料
【本文】
地域網の食料は、百四十七人で十八日分だった。
県立病院から移った患者と医療従事者を加えると、実際には十五日も保たない。千鶴は第四迷宮の保管室で、米、乾麺、缶詰、野菜、調味料を全て数え直した。
世界の声はポイントによる食料交換を表示した。一食分に必要な値は日ごとに上がっている。需要が増えるほど高くなる仕組みだった。
湊は利用しない。ポイントへ依存すれば、世界の声が価格を変えただけで食卓が止まる。
第九迷宮のオルドが、郊外倉庫に残る食料信号を示した。大型倉庫には配送前の米と保存食がある。しかし所有会社の許可なく運べば略奪になる。
朔が倉庫会社の緊急連絡先を探し、冬一が無線で呼びかけた。二時間後、県外にいる責任者と繋がる。
数量を記録すること、地域の公的避難所へも分配すること、後日精算資料を残すことを条件に搬出許可が出た。
食料が見つかっただけでは増えない。道路、運搬人員、保冷、受け入れ場所が必要だった。
千鶴は十五日という数字を消さず、その横へ最初の搬入計画を書いた。
保管室では、箱の外側に総量だけでなく開封後の期限も書いた。同じ一キロでも、封を切った粉と未開封の缶では持つ日数が違う。夜勤者の取り置き、病人食、乳児用を一般在庫へ混ぜず、緊急用三日分は別室へ移した。表示上の食料が残っていても、必要な人へ必要な形で渡せなければ一日分とは数えない。
搬入が遅れた場合に備え、十五日目までの献立も先に組んだ。最後の日だけ急に量を減らさず、今から少しずつ調整する。
数字は毎朝の点呼後に更新する。
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