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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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指定人数

【本文】

 朔の端末へ、各地の映像が流れ始めた。

 東京では駅構内に現れた入口へ、機動隊と自衛隊が数十人単位で突入している。扉の表示は『0/5』。六人目が境界を越えた瞬間、入口が閉じ、先に入った五人との通信も途絶えた。

 海外でも同じだった。戦車砲で扉を破壊しようとした部隊は、砲弾を撃ち返されたのではない。入口そのものが別の場所へ移り、砲弾だけが市街地へ飛び込んだ。

「人数表示を読めてない」

 湊たちには見えた数字が、一般の軍人には見えない場合もある。候補者として認識される条件が不明だった。

 安西は消防本部を通じ、入口へ少人数で近づくこと、表示が見える者を探すこと、重火器を使わないことを伝えた。しかし根拠を問われると、説明できる公的資料がない。

 政府からは、地下構造物を敵性施設とみなし、自衛隊の指示なく接触しないよう緊急通知が出る。

 通知を待っている間にも、地方の消防と警察は目の前の住民を助けなければならない。

 朔は失敗映像から入口の数字だけを切り出し、時刻と人数を一覧にした。五人、四人、七人。指定数を越えた例は全て扉が閉じている。

 湊はその表を匿名で消防の共有網へ送った。

 信じるかどうかは相手に任せるしかなかった。

 投稿映像には誤情報も混ざった。扉を十回叩けば開く、血を塗れば所有者になれるという話が拡散している。朔は確認できない情報を削り、映像で人数と結果が一致する例だけを残した。匿名資料の冒頭へ「攻略を勧めるものではない」と記し、まず周辺住民を入口から離すよう追記する。

 資料には成功例がないことも明記した。指定人数を守れば必ず帰れるという保証までは、まだ一件も確認できていない。


(次話へ)

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