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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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閉じる道路

【本文】

 地上へ出ると、町の形は変わっていなかった。

 だが道路の中央に黒い石柱が立ち、交差点を塞いでいる。信号は点灯したまま、車が何台も立ち往生していた。柱の根元には小型ダンジョンの入口が開き、影獣が一体ずつ這い出している。

 安西たちは戦わず、住宅地側の避難を優先した。岳が盾で影獣の進路を止め、消防士が車を後退させる。運搬型ゴーレムは歩けない老女を布団ごと持ち上げた。

 住民は鉄の怪物を見て悲鳴を上げた。岳はゴーレムから離れず、救助用だと繰り返す。説明に時間を取られる間も影獣は増えていく。

 湊は無線で第九迷宮へ連絡し、学校入口までの物流通路を開いた。人間は通れない細さだが、ゴーレムと物資だけなら地下を移動できる。

 地上の道が塞がっても、十基を結ぶ細い経路は残っていた。

 午前零時二十分、最初の交差点が完全に通行不能となる。消防本部には同様の通報が二十件以上入っていた。

 老女を学校入口へ届けた直後、遠くで爆発音が響く。

 県道脇に現れた入口へ、警察車両が衝突したらしい。

 安西は救助班を二つへ分けた。迷宮を攻略する者ではなく、入口の外で取り残される人を拾うためだった。

 道路脇の家からは、犬を抱いた少年も出てきた。避難所へ動物を入れてよいか決まっていない。置いていけと言えば少年も残る。安西は入口近くの空き区画を一時隔離場所にし、飼い主が世話を続ける条件で受け入れた。規則がないことを、助けない理由にはしなかった。後から衛生担当と正式な飼育場所を決める。

 犬には水皿と毛布が用意され、少年自身が清掃担当になった。助けられるだけだった表情が少し変わった。


(次話へ)

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