表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/372

最初の未登録者

【本文】

 学校入口へ来た二人は、近所に住む夫婦だった。

 世界の声に起こされ、庭へ突然現れた黒い獣から逃げてきたという。夫の袖は裂け、前腕に浅い爪傷がある。湊は二人を人類陣営へ自動登録させないため、迷宮へ入る直前に空欄報酬の《選択保留》を広げた。

『地域隔離網への一時保護を確認』

 冷たい声が不満そうに揺れたが、登録は止まった。

 小春が夫を医療区画へ運ぶ。影獣の爪には黒い粒子が残り、普通の消毒だけでは消えない。モモが毒素だけを吸い、ネーヴェの糸で傷を閉じた。

 妻は何が起きたのか説明を求めた。千鶴は分かっている事実と、まだ分からないことを分けて話す。安全を保証するとは言わなかった。ここにも百二十人という上限があり、食料は十八日分しかない。

 それでも二人は、助けられたことより自宅に残した隣人を気にした。

「向かいのおばあさんは、一人で歩けません」

 安西が住所を聞き、地上救助班の地図へ印を付ける。運搬型ゴーレム一体と消防士二名、岳が同行することになった。

 未登録者欄の最初の二行へ夫婦の名が書かれる。

 その下には、まだ会っていない高齢女性のための三行目が用意された。

 登録時には氏名だけでなく、連絡先、持病、家族、最後にいた場所を確認した。混乱した夫婦へ同じ質問を繰り返さず、最初に聞いた担当者が紙へ残す。小春は傷の時刻と治療内容を加え、真理は捜索対象の老女を別の色で囲んだ。名簿は人数を数える表ではなく、離れた人を再び結ぶための地図へ変わっていった。

 夫婦には腕輪と同じ番号の荷札を渡し、荷物だけが別区画へ運ばれても持ち主を探せるようにした。


(次話へ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ