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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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消えた星印

【本文】

 公開まで十五日、全国地図の赤い点が急増した。

 湊たちの十基は白い線で結ばれている。だが管理者のいない地域では、隔離率が少しずつ低下していた。

 北海道の一点だけが金色に変わり、短い信号を送ってくる。朔が復号すると、《隔離機能を確認した。破壊するな》という文章になった。送り主の名はない。

 返答を試みるが、冷たい声が通信を遮断した。

『所有地域外への干渉は禁止されています』

 同じ夜、海外地図の大きな点が一つ消えた。直後に映像投稿サイトへ、軍が地下施設を爆破する動画が上がる。歓声のあと地面が黒く染まり、通信が切れた。

 翌朝には動画も消えていた。

 映像を保存した朔は、爆破直前に地下から白い光が逃げる様子を一コマずつ確認した。光は攻撃ではなく、周囲へ警告を送ろうとしているように見えた。その周波数は北海道から届いた信号と似ている。迷宮同士は、冷たい声に遮られながらも連絡を試みていた。

 モモは黒くなった地点を見て、「あいた」と呟く。破壊された迷宮から、封じていた何かが漏れたという意味らしい。

 湊は十基の冠位個体へ、外部から攻撃された場合は人間を殺さず入口を閉じる規則を共有した。安西は地上施設の避難線を引き直す。

 世界はまだ迷宮を知らない。

 しかし知らない場所で既に、最初の隔離壁が壊されていた。

 黒い染みは地図上でゆっくり広がり、隣の灰色の点へ近づく。隔離槽一つの破壊で終わる異変ではなかった。

 湊は映像と信号を三つの媒体へ保存し、北海道の送り主へ再送できる時に備えた。

 その間も黒い染みの時刻を記録し続けた。

(次話へ)

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