↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/372

畑を地下へ運ぶ

【本文】

 第四迷宮の芽の部屋へ、堀越文が最初の土を持ち込んだ。

 畑一枚分を移すのではない。表土、深い土、落ち葉、堆肥を別々の箱に入れ、虫や菌も含めて状態を調べる。

 迷宮の床へ土を広げると、翌朝には表面が白く乾いた。水を与えても保たない。照明は明るくても、植物が必要とする光とは違っていた。

 循環粘体へ水やりを任せると、一か所へ集まりすぎて苗を倒した。文は細い溝を掘り、水が根元へ均等に届くよう直す。便利な生き物にも畑の知識はない。人間が育て方を示し、毎日状態を見なければ、能力だけでは一株も実らなかった。

 文は失敗した苗を捨てず、根を洗って原因を見た。温度は一定すぎ、風がなく、夜もない。

 《領域編集》で昼夜を作るには大量のポイントが必要だった。そこで鉄平が地上の送風機を運び、朔が時間制御を組む。電力は工場の発電機から供給し、迷宮には保温だけを任せる。

 二度目に植えたジャガイモは、一週間後も葉を保った。

 収穫できる保証はない。百二十人分には程遠い。それでも文は、成功した一株より失敗の記録を大切にした。

「畑は命令した日に育つもんじゃない」

 公開まで四十八日。

 湊たちは備蓄を増やしながら、間に合わない作物を急かさず待つことも覚え始めた。

 土の下では小さな根が伸びた。文は成功とは呼ばず、生き残った段階だと言う。収穫と次の種まで繋がって初めて畑になる。

 地上の畑と地下の畑で同じ苗を育て、葉の色、土の乾き、根の長さを毎朝比べた。結果が違えば原因を一つずつ変え、迷宮の力だけに答えを求めない。

 それを続けた。

(次話へ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。