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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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残り四つの点

【本文】

 六基が接続された夜、第一迷宮の地図に四つの白い点が現れた。

 第七は県立病院、第八は浄水場、第九は郊外の大型倉庫、第十は山間の廃駅。どれも生活を維持する施設に重なっている。

 公開まで、残り七十六日。澪の残余時間は、あと三十六日。

 四つを一度に開く余裕はない。湊たちは危険度と周辺人数を比べ、県立病院を最優先にした。患者を巻き込む異変だけは避けなければならない。

 安西の紹介で、病院の施設管理者へ地下の異常振動を伝えた。だが診療を止める根拠には弱く、点検できるのは深夜二時間だけだった。

 浄水場では水圧の揺れが既に記録されている。大型倉庫は週末に大量入荷を予定し、廃駅周辺には人が少ない。

 四つの施設へ同時に人を置くため、安西は非番の消防士へ設備点検として協力を頼んだ。迷宮の説明はできなくても、異音、水漏れ、地盤変化を記録することはできる。冬一は連絡が途切れた場合の時刻表を作り、家族へ配った。

 準備が増えるほど、秘密を知る人間も増えていく。湊は情報を隠す危険と、広げる危険の両方を台帳へ書いた。

 千鶴は一枚の予定表へ、攻略順だけでなく止められない仕事を書いた。透析、手術、水質検査、配送便。迷宮だけを見て動けば、守るはずの生活をこちらが壊す。

 湊は第七を病院、第八を浄水場、第九を倉庫、第十を廃駅の順と決めた。ただし異常値が変われば即座に入れ替える。

 地図の第十だけが、一定間隔で白から金へ変わっていた。変化は零時に近づくほど速かった。

 モモはその点だけを長く見つめ、「おうち」と呟いた。

(次話へ)

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