学校の避難訓練
【本文】
壁の声が本当に封鎖警告なら、先に児童の退避手順を確かめる必要がある。
授業中に低い音が三回鳴った想定で、机の下、廊下待機、校庭集合を試す。走らない、荷物を取りに戻らない、点呼は名前で行う。
学校で見つかったことは、児童名を外して地域網、体育館、病院へ共有する。発見者を特別な能力者として登録せず、授業と休息の時間を変えない。
喘息の結衣、歩行補助が必要な児童、音を怖がる児童には別の介助者を置く。最速時間を競わず、最後の一人が安全に着くまでを測る。
教室を調査区画だけにせず、予定していた読み書き、計算、遊びを続ける。壁の音が鳴っても、児童全員を観測当番へ集めない。
世界の声が報酬や即時解放を表示しても、地上の図面、避難経路、本人同意を先に確認する。分からない部分は推測で埋めず、次の観測時刻を決めた。
訓練で見つかったのは、北階段の床灯が校庭から見えないという地上の欠陥だった。
佳乃は授業記録と設備記録を別冊にし、子どもの言葉を大人向けの管理用語へ勝手に書き換えなかった。
点呼では一人の名前が二度呼ばれ、欠席児童が一人抜けた。住民番号でなく名前を使っても、同姓や聞き間違いは起きる。組ごとの名簿と現在地札を照合し、返事ができない児童は介助者が触れて確認する。訓練終了後、怖くて動けなかった子を失敗者にせず、次回は教室待機を選べる。
観測後は教室の換気、電位、児童の体調を確認し、異常がなくても記録した。発見した子だけへ褒美を与えず、参加しなかった子の遊びと学習時間も同じように守る。
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