開けない壁
【本文】
代表会議では、壁を開けて内部を確かめる案が多数を占めた。食料や未使用設備があるかもしれない。
奈々は北壁が校舎の耐力壁で、切れば二階床を支えられないと説明する。世界の声は《隠し区画解放》をポイント交換で勧めた。
学校で見つかったことは、児童名を外して地域網、体育館、病院へ共有する。発見者を特別な能力者として登録せず、授業と休息の時間を変えない。
湊は所有者権限で開けず、学校責任者、建築担当、児童代表の同意が揃うまで保留する。子どもの発見を大人の資源取得へ直結させない。
教室を調査区画だけにせず、予定していた読み書き、計算、遊びを続ける。壁の音が鳴っても、児童全員を観測当番へ集めない。
世界の声が報酬や即時解放を表示しても、地上の図面、避難経路、本人同意を先に確認する。分からない部分は推測で埋めず、次の観測時刻を決めた。
声が助けを求めていても、壁を壊すことだけが返事とは限らなかった。
佳乃は授業記録と設備記録を別冊にし、子どもの言葉を大人向けの管理用語へ勝手に書き換えなかった。
食料不足が続くため、隠し区画への期待は強かった。拓郎は食料がある前提で配給日数を増やさず、壁を開けない決定と現在の食料表を同時に掲示する。保留期限は無期限にせず、建物の支えを外さず調べられる内視鏡経路を三日で検討することになった。
観測後は教室の換気、電位、児童の体調を確認し、異常がなくても記録した。発見した子だけへ褒美を与えず、参加しなかった子の遊びと学習時間も同じように守る。
期限も壁へ掲示した。
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