教室を戻す
【本文】
旧小学校の二教室から寝床を移し、机を十二組だけ並べた。児童は日向、川端、杉沢、地域網から合計二十六人。
全員を同じ学年にせず、読み書き、計算、生活記録の三組へ分ける。年齢より、今どこから再開できるかを佳乃が一人ずつ確かめた。
学校で見つかったことは、児童名を外して地域網、体育館、病院へ共有する。発見者を特別な能力者として登録せず、授業と休息の時間を変えない。
授業は午前二時間。午後は遊びと休息、希望者だけ農業観察を二十分行う。配給や寝床は出席日数へ結びつけない。
教室を調査区画だけにせず、予定していた読み書き、計算、遊びを続ける。壁の音が鳴っても、児童全員を観測当番へ集めない。
世界の声が報酬や即時解放を表示しても、地上の図面、避難経路、本人同意を先に確認する。分からない部分は推測で埋めず、次の観測時刻を決めた。
避難所の部屋だった場所に、正解を間違えても食事が減らない教室が戻った。
佳乃は授業記録と設備記録を別冊にし、子どもの言葉を大人向けの管理用語へ勝手に書き換えなかった。
教科書は全員分なく、同じ本を二人で使う。書ける紙も限られるため、黒板、砂盤、消して使える板を組み合わせた。教材を持っていた家庭だけが先へ進まないよう、個人物資を共同備品にする場合は本人へ確認する。授業後の机は寝床へ戻さず、災害時の集合場所として位置を残した。
観測後は教室の換気、電位、児童の体調を確認し、異常がなくても記録した。発見した子だけへ褒美を与えず、参加しなかった子の遊びと学習時間も同じように守る。
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