土を持ち込む重さ
【本文】
地上から畑土を運ぶ案を量ると、深さ二十センチでも百トンを超えた。燃料八日では車両輸送できない。
鉄平はゴーレム搬送を提案するが、第五迷宮の炉熱も封鎖戦後に低下している。文は全面を埋めず、畝四本分だけを対象にした。
作業表には、担当者、代行者、使用した水と電力、翌日の確認時刻を記す。働けない者の配給を減らさず、農業班だけへ補助食や権限を集めない。
学校花壇、放棄畑、倒木下の腐葉土から、所有者や県庁の許可を得て少量ずつ採る。一か所を空にせず、採取前後の量と位置を残す。
農業区画へ入る者は靴底を洗い、地上土と血獣粒子を混同しない。採取物には場所と時刻を付け、正体不明の土や水を広い区画へ一度に入れない。
世界の声の予測は参考記録として保存するが、地上の測定と一致するまで在庫や安全判定には使わない。失敗した区画も消さず、原因を次の畝へ渡す。
農業区画を満たすより、地上の土を殺さず増やす種土を作ることが先になった。
成果を食料日数へ加えるのは、収穫し、重量と安全を確認してからとした。育っている途中の命を、帳簿だけで先に食べない。
採土班は一日二便までとし、帰還後に腰、手袋、車輪を確認する。土の量を稼ぐため危険区域へ入らず、採取地の雑草と表土を残した。持ち帰った種土は一週間隔離し、虫や病原菌が出ないか観察してから混ぜる。
その日の終わりには、働いた人数だけでなく、休んだ人数、枯れた苗、使わなかった資材も記録した。何も増えなかった一日を失敗として隠せば、収穫予測だけが現実より先へ進む。
(次話へ)




