戦後の監査
【本文】
封鎖から七日目、血獣群体の最初の定期点検を行った。
封鎖率九十六%という数字だけを見れば、災害は終わったように見える。だが避難所では、食事、水、薬、睡眠、葬送が一日も止まらない。
封鎖率九十四%、井戸粒子は基準内、牛十二頭は個別行動。空槽三基とガンゼは未回復、モモの体積は六割まで戻った。
記録には成功と失敗を分けず、時刻、担当者、中止条件、翌日へ残る負担を書く。作業できない者の配給を減らさず、代行者だけへ負荷を集めない。
地域網百四十九人、体育館三十七人、旧小学校二十一人、病院四人。食料は十八日、二日、三日、燃料八日。岩田は行方不明のまま。
世界の声は早い回復や所有権交換を勧めたが、町は即決しない。本人同意、地上の手順、再検査を先に置く。
勝利後に失ったものを隠さず、次の農業区画へ進むための現在地を町全体で確認した。
代表会議は結論だけでなく、分からない点と見直す時刻も掲示した。勝利の後だからこそ、疲労を勇気、沈黙を同意、空欄を余裕に読み替えない。
設備と人間のどちらかを使い潰して日数を延ばす方法は選ばなかった。
第百九十二話の総合監査では、人数の重複、食料、燃料、澪の残余時間、血獣点検、葬送、行政記録を照合した。旧作固有名、敵本人の内面視点、無限生成、万能治癒の混入も確認する。大きな矛盾はなく、湊の休職と権限分散を次の部へ継続した。
変更後の担当者は、実行したことだけでなく、見送った作業と理由も次の交代へ伝えた。誰かが戻れば元どおりになる暫定措置ではなく、その人が不在でも続く手順として試す。
(次話へ)




